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ありふれた薄幸メイドは、冷徹貧乏伯爵に愛でられる  作者: おうぎまちこ
魔術研究所で令嬢と対決編

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第16話 令嬢倒れて地固まる!?





 金髪碧瞳の美人令嬢・アーレス様に、テオドール様とわたしが立ち向かっている(?)最中――。


「そこまでだ――」


 その場に、別の誰かの声が聴こえる――。


(この声――――?)


 魔術研究所の正面玄関から、オルビス・クラシオン王国の騎士団所属を意味する白いコートを着用した男性が現れた。

 その人は、ゆっくりとテオドール様とわたしの横を通り抜ける――。


(あ――やっぱり――)


 燃える炎のように紅い髪に、新緑のような爽やかな碧色の瞳――。



「剣の……守護者様……」


 わたしはつい口に出してしまった。

 現れた騎士は、王国最強の騎士にして、国の神器の使い手でもある――。


(そして、恐れ多くも、わたしのお兄ちゃんの親友で――現・女王陛下の恋人で――わたしの――)



 ずっと好きだった人――。



 わたしは、つい剣の守護者様の背中を凝視してしまった。

 そうして、実はそんなわたしのことをテオドール様が見ていたようなのだけど、わたし自身は気づけなかった――。



「な、な、な――――」


 剣の守護者様に近づかれたアーレス様の唇がわなないていた。


 彼が、彼女の前に立つ――。


「魔術研究所の方で騒ぎがあると聞いたので、うかがってみたら――アーレス、お前だったのか――」


 そうして、アーレス様は震えながら口を開いた。



「お、お兄様……」



(お、お兄様――――!!!!?)



 な、なんと―――。


 アーレス様は、剣の守護者様の妹だったのだ――。

 剣の守護者様と言えば、王国の二大筆頭貴族である公爵の位を持っているお家柄の人物――。


「魔術研究所に入るのは良いが、面倒ごとは起こさない約束をしていたんじゃなかったか?」


 丁寧な言い方で、剣の守護者様は、アーレス様に問いただす。

 彼女は唇をきゅっと結んで、押し黙った。

 剣の守護者様が、わたしの方をちらりと見ると口を開く。


「ネロの妹のマリアさんでしたね――私の妹アーレスがご迷惑をおかけしました――」


(わ、わたしのこと、覚えてくれていたの――!?)


 わたしはびっくりして、その場で固まってしまった。

 自分でも分かるぐらい、頬が赤らんでいくのが分かる。


 剣の守護者様は、周囲を見回し問いかける。


「状況を誰か説明してほしい――」


 そうして、魔術師たちが状況を説明し終わると、剣の守護者様は顎に手を当てて何事かを考え始めた。

 少しだけ目を瞑った後、開く。


 そうして――。


「魔力をたどれば、マリアさんが犯人ではないことは一目瞭然だ。アーレス……正直に話せば、私はお前に恥をかかせるようなことはしない」


 彼女の顔は蒼白だった――。


「お、お兄様……わたくしは……」



 その時――。



「マリアさん! アーレスさん!」



 可愛らしい女性の声が響いた。

 

 その場に現れたのは――。



「女王陛下」



 玄関から現れたのは、亜麻色の長い髪に黄金の瞳を持つこの国の女王陛下だった。


「皆様、ごめんなさい。無くなったという研究データなのだけど、私が魔術師長に頼んで見せてもらっていたの。うまく手続きが出来てなかったみたいで、紛失したように見えていたみたい。本当に申し訳ございません」


 女王陛下が頭を下げると、魔術師たちの間にどよめきが走った――。


 皆、「魔術師長と女王陛下が持ち出していたのなら仕方がない」と口々に話す。


「ごめんなさい、皆さま、お仕事に戻って大丈夫ですから――」


 そうしてその場には、わたしとテオドール様、アーレス様、女王陛下と剣の守護者様の五人だけになった――。


 しばらく沈黙していたが、それを破ったのは剣の守護者様だった。

 女王陛下に向かって、彼は口を開く。


「あんたは……何で面倒ごとに首をつっこもうとするんだよ!」


(へ――――!?)


 わたしは驚いてしまった。


(品行方正で名高い、剣の守護者様のしゃべり方が雑――!? 女王陛下をあんた呼ばわり!?)


「だ、だって――私の義妹になるアーレスさんと、ネロさんの妹さんが一緒にいるって聞いたから――」


「はあ、ったく……もうなんだって――」


 剣の守護者様がぶつぶつと呟いている。


(礼儀正しい、剣の守護者様はいずこへ――?)


 本当に彼は、私の好きだった人と同一人物なのだろうかという位、喋り方が乱暴だった。


(ゆ、夢が崩れる――!!!)


 そうして、剣の守護者様はアーレス様に向かって話しかける。


「ほら、アーレス、マリアさん謝れ。お前が失くしたんだろう、研究データ」


(え? アーレス様が研究データを――?)


 彼女はバツが悪そうに、俯いていた――。


「正直に話せば良いのに、なんでネロの妹にわざわざ罪をなすりつけようとしたんだよ」


 アーレス様は下を向いたままだった。

 

 そんな中、女王陛下が剣の守護者様に声をかける。


「もう。あなたは全然わかってないわ!」


「何がだよ――?」


「乙女心よ!」


「は――?」


 二人がいちゃいちゃと(わたしには見える)やりとりをしている中、アーレスさんがぽつりと口を開いた。



「ごめんなさい……テオドール伯爵……それに、アリア……さん……わたくし、おおごとになったと思って、それで……」


 アーレスさんは、しくしくと涙を流し始めた。


「研究データは魔術師長に言って復元してもらったから大丈夫よ」


 女王陛下の言葉に、アーレス様はわんわんと泣き始める。

 わたしは、なんだか彼女が可哀そうになって声をかけた。



「アーレス様、気になさらないでください! 研究データは無事だったのですから――」


「ご、ごめんなさい~~~~」


 わたしはぽんぽんとアーレス様の肩を叩いて慰める。


 しばらく経った頃、わたしはとてつもなく大事なことに気づいた。


「あ、あれ――? テオドール様がいない――?」


 自分のご主人様が、いつの間にか姿を消していたことに、今さらながら気づいたのでした――。




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