秘密の共有と初クエスト
万雷の喝采をすべき最高のご飯を食べ終え、なんやかんやあり、今、私とリエさんは食事をしていたテーブルで重要な案件について話していた。
「そう言えば、八坂さん?」
「何ですか?リエさん。」
「お風呂を終えたばかりで恐縮ですが、先程食事前にギランさんが言っていた、『恩人』というのは何のことですか?
一週間前からセリアちゃんが居なくなっていたと聞いてはいたのですが、一体………何が?」
先ず、シリアスな話になる前に、
『風呂は前話と今話の間に入りました!残念だったな!』
そして、シリアスな話へ。
「その件……やっぱり話さなきゃダメよね……。
皆さん、少し集まって貰えませんか?」
テミスちゃんとセリアちゃんは直ぐ傍で遊んでいたから直ぐに集まり、セリアちゃんの両親は後片付けを切り上げてこっちに来てくれた。
「なんだ?」「如何したの?」
5人全員。
この人達はもう既に巻き込んでいるし、私も女だ!腹を割ろう。
「セリアちゃんのお父さんとお母さんはセリアちゃんから聞いて知っているかもしれませんし、セリアちゃんとテミスちゃんは私がコッチに来た時の事を知ってるかもしれないけど、実は私、異世界から来たんです。」
ここからの話は割愛させて貰うけど、要は私について何も知らないリエさんへの説明と、セリアちゃん一家への補足説明、テミスちゃんと私のこれからの方針について話したって事。
リエさん達はただ黙って、私の話を真摯に訊いてくれた。
私はこの国の権力者サイドから見ればお尋ね者ならず者の類に当たる訳だし、リエさんには色々やって貰ったし、ここで色々隠しておくのは、私はイヤ!
洗いざらい話させて貰った。
「テミスちゃん、ゴメンね。」
傍らのテミスちゃんに謝ると、首を横に振られた。
「いいの、ハッカお姉ちゃん。有り難う。私とセリアちゃん達を助けてくれて。」
「俺達もお前さんには感謝しなけりゃならない。娘を助けてくれて…有り難う。」
「味方が居ない中、辛かったでしょう?いえ、今でも辛いでしょうに。」
結構罵倒も覚悟していただけに、少し面喰った。
私も……まだまだだね。
「だから、私の事を知っているってバレると皆を巻き込みかねないの。
皆には私の事は秘密にして貰えない?」
「おうとも。墓まで持って行こう。」「当り前さね。」「私達だけの秘密ね。」
セリアちゃん一家は快諾してくれた。
「……………………………決めました。」
肝心のリエさんは黙って深刻に考えた顔をしていたと思うと、一言そう呟いた。
「八坂さん、テミスさん、私は何が有ってもあなた達の味方です。
テミスちゃんのおウチ探しの為に、ハッカさん、あなたのこの世界での人生の為に、リエ=バーガードルは全力を尽くします!」
覚悟。その眼には、揺るぎ無い美しき覚悟が在った!
王城で散々な目に遭っただけに、ここに居る人達の厚意が眩しい。
「皆さん………有難う………本当に、有難う。」
文化の違いは有るかもしれないが、私は私の知る感謝の意の込め方で、頭を下げた。
「さぁ、そうと決まれば……………丁度ここに、明日あなた達に渡そうと思っていたクエストが有るんですが………」
そういって懐から折り畳まれた一枚の紙を取り出した。
机の上にA4位の藁半紙もどきが広げられた。
「丁度今、大量発生しているんです。冒険者とこの世界が初めての、あなた達の記念すべき初クエスト候補、『スライム討伐』。
あなた達の明日の為に、こんなのはどうでしょうか?」
藁半紙には見慣れぬ文字と大きく中心に書かれたRPGでお馴染みのあのモンスター。『スライム』が描かれていた。
感想を見ている方はお気付きかも知れません。
そして、敢えて名前を挙げるとすれば、「待たせましたね!サカキショーゴ様!」と申し上げておきましょう。
プロットがフワッフワで短編の予定だった本作の為に、アイデアを与えて貰ったお陰で序盤の物語が一つ、出来ました!
皆さんも、突発的な単語だけのアイデアで構いませんので、ガンガンアイデアの種を感想にお願いいたします。
どんなしょうも無いと思う事でも良いので。
そのしょうも無いと思えるような事を物語に活かす事こそ書く者の腕の見せ所と思っていますので!
それはそれとして、いつも通り、感想、評価、レビュー、ブクマ、宣伝等お待ちしております。
『未来の黒幕系悪役令嬢モリアーティーの異世界完全犯罪白書』という悪役令嬢の皮を被ったミステリー&アクション&ファンタジーな悪役令嬢モノも宜しくお願いします。(こちらはお陰様でPVが45万を超えました。)




