95回目 サモン・ダークネス
魔王が破壊した世界。
空気とかいろんな物が欠損してしまったため、
それを召喚により補っている世界。
後の世に『蜃気楼の時代』と呼ばれる、
そんな時代のお話。
召喚獣をこの世界に定着召喚できる存在。
6人の魔女がいる。
召喚獣が消えると魔法の効果も消える、
呼び出している間使い手の魔力(生命力)を消費し続ける。
召喚獣がこの世界で死ねば死体は残る、
その血や肉や骨を抜き取り武器にすれば魔力を武器にのせて使える。
主人公は魔法道具屋のお手伝いをするかわりに家に置いて貰ってる孤児の少女(5さい)。
小さい頃寂しくて間違えて召喚してしまった獣人を
他人には人間に見えるように生まれた時から持っているお守りの魔法を使っている。
自分が魔女であり世界にとって特別な存在である事は知らないが、
獣人さんに隠せと言われて隠し続けている。
魔法道具から聞こえるささやき声や歌に耳を傾けるのが好きな
少しメルヘンな所のある少女。
主人公はまだ未熟で精神集中ができないため、
歌っている間だけ召喚獣を具現化する事が出来る。
この世界に勇者が『創世神』を呼び出す代償にいろんな物を失った。
その『奪い尽くす者』は人々に魔王と呼ばれていて、
地下深くに封印された今でも未だに世界からいろんな物を奪い続けている。
そしてそれは創世神に匹敵する価値、つまりこの世界全てを奪い尽くすか
創世神を返すしか消える事はない。
創世神のいた世界から来た謎の青年とか、
蛮族国家とかの追っ手に追われながら、
少女は実は6人の魔女こそが創世神の分かたれた分身である事を知る。
彼女たちが『奪い尽くす者』に返される事で世界は救われる、
その事実と共に全ての黒幕である勇者が姿を現す。
この世界の絶対者である勇者の絶大な力の前に
少女の召喚術も獣人の力も何一つ通用しない。
彼を倒すために別世界の絶対者を一か八かで召喚する少女。
なんとか勇者を退ける事が出来た少女だったが、
呼び出した絶対者『魔王』の存在が大きすぎたため
地下の『奪い尽くす者』の封印が少し解れてしまい、
その邪悪な力の欠片が地上へ析出し始める。
歴史上失われた世界の宝が邪悪なる存在として現れ、
世界を侵略し始めた。
自分のせいだと自責の念を感じる少女を獣人は間違ってるとも正しいとも言えず
ただ抱きしめ、彼女の孤独を癒すしかなかった。
六人の魔女はそれぞれ対応する魔王の存在があるとか明らかになる、
つまり魔力の根元になっている存在。
魔女のうち4人は死んでいて(一人は主人公の幼なじみ)、
残る一人(他の魔女殺して魔力奪ったり超悪い奴)も捕まり、
主人公も罪を償うため、
なによりこの世界では救えない病気に冒された獣人さんを助けるために同意して
地下の空間の魔法陣へと向かう。
儀式が始まりかけた瞬間勇者が現れ全ての真実が明らかになる。
今まで仲間だと思っていた謎の青年が実は勇者と戦っていた『魔王』で、
彼が無理矢理この世界に来た事で『奪い尽くす者』がこの世界に生まれた。
そしてそれを封印するために勇者が倒した魔王の肉体と魔力を使い
『奪い尽くす者』の発生によって生まれた次元の歪みを利用して
『創世神』を召喚し世界の欠損部分を補完したのだという。
体を失った魔王は人間の体に次々に乗り移りこの時を待っていたのだ、
儀式とは6人の魔女を一つの体にし、
その体をベースに魔王が甦るための技術だった。
儀式が執行され取り込まれかける少女を飛び込んできた獣人さんが救い出す。
5人の魔女の肉体を手に入れた魔王は不完全ながらも復活。
主人公達の前に立ちふさがる。
絶望しそうになる主人公の前に5人の魔女の幽霊が現れる。
主人公に自分たちの体のそれぞれの弱点を伝える幽霊達、
主人公を補完出来なかったため弱点がそのまま剥き出しになっているのだ。
獣人に抱きかかえて貰い、召喚獣も駆使し勇者のフォローも貰いながら、
なんとか全ての弱点をついて『大魔王』を倒す主人公。
しかし大魔王はよりによって『奪い尽くす者』と同化しようとして取り込まれてしまう。
それによって封印が完全に解けた『奪い尽くす者』が現れる。
大魔王を取り込んだ事で知性を手に入れた『奪い尽くす者』は
創世神の一部も取り込んだ事で全く別の存在へと進化していた。
主人公を姉妹と呼び、唯一の家族である自分と共に来いと告げる。
主人公の中で封印されていた記憶が甦り、
自我を失い彼について行こうとする主人公。
彼女は人が変わったような怪力と魔力を発揮し、
勇者の静止すら赤ん坊を捻るよりも容易く退けてしまう。
獣人さんがそんな彼女の前に最後に立ちふさがる。
「俺がお前のお兄ちゃんだ、お前だけが俺のたった一人の家族なんだ」
そう言うと彼は魔力が暴走しごたまぜな召喚で
人間凶器状態になっている主人公に戦いを挑む。
魔女達の魂が味方して5人の魔王の力の象徴である
剣、鎧、盾、マント、靴が彼の体に身に付く。
その力を使い主人公の魔力を倒しなんとか彼女を救い出す事に成功した獣人さんだったが、
『真奪い尽くす者』が力ずくで主人公を取り込もうとする。
そこに不思議な歌が届き『真奪い尽くす者』の動きが鈍くなる。
この世界に残された召喚獣たちの亡骸の歌、
一人の少女を守るために世界中の召喚獣達が歌っているのだ。
5人の魔王との連携攻撃の果て、
主人公を抱えたまま獣人さんは主人公に頼む。
「本当の姿の俺を召喚しろ」
「うん」
主人公の奏でる歌が力になり獣人さんの姿があの時の魔王の姿になる、
獣人さんは実は主人公にとってたった一つの絆であった魔王そのものだったのだ。
獣人さんの最後の攻撃によりひび割れた『奪い尽くす者』に
世界中の召喚獣の歌の祈りの力が注ぎ込まれ、
それによってバラバラに霧散した『奪い尽くす者』を
勇者は一粒ずつ全ての人間の中に封印した。
人の心の光がある限り消して悪さはできない、
こうして世代を経てゆっくりと消し去るしか方法がないのだ。
全てが終わったあと
「んふふー」
「なんだよ気持ち悪いな」
「さっきは恥ずかしいコト言ってたよねぃ、
俺がお前のお兄ちゃんだよー!だっけ」
「ちっちげぇよ!バカッ
お前なんかあのまま取り込まれちまえばよかったんだ」
「あっひどーい。――でもちょっとだけ、ちょっとだけど感動したよ?」
「あん?」
「守ってくれてありがとって言ったの」
「はんったまには素直になる事もあるんだな、このサザエ頭」
なんてエンドレスな兄妹喧嘩を繰り返しながら、
なんだかんだで平和な日々を過ごして
二人とも女の子と獣人の本当の姿で
ある日教会の中で鐘の音を聞く日があったとかなかったとか。




