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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
5歳の女の子と獣人さんのお話
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92回目 地下迷宮の天使

主人公は孤児になりメイドとしてある貴族の屋敷で仕事をしている少女イェン(5才)

その家の住人は皆優しく6人の子供達は自分を受け入れ友達としてあつかってくれる

そんな幸せな日々を送っていた

しかしある日の夜イェンは黒覆面の男に屋敷の地下の迷宮に閉じこめられてしまった

屋敷の中では

父が「さあ誰が一番早くイェンを殺せるかな?」

という言葉に6人の子供達が僕だよ!私が先よ!と

嬉々として叫びその影が醜い化け物の姿へ変貌していく


暗闇の中恐怖で泣き叫び涙も声も枯れてただとぼとぼと

痛む足をひきずって歩く彼女の前に一人の狼獣人が姿を現して


 実は屋敷は人体改造のラボで

 失敗作を鬼にした鬼ごっこを定期的に行い

 6人の限りなく完璧に近い怪人の機能向上を行っていた。


狼獣人も昔の失敗作で

気の狂った化け物だらけの迷宮の中を

彼の知恵と身体能力に救われながら

イェンは彼に心惹かれていく。


その時代黒死病と呼ばれていた病原体を運ぶ特殊生命体に噛まれたイェンは

無自覚のうちに人体改造されていて

実は自分の家族を皆殺したのもイェンだということが

屋敷の子供を一人殺したあたりでわかってくる


化け物姿であっても声も性格も屋敷の友達だった子供達で死体も人間の姿、

戦うのは狼獣人だったがイェンは子供達が傷つくたびに胸が痛み

同時に奥底からわき上がってくる驚喜が堪えきれず

自己嫌悪と陶酔のハザマでドロドロになっていく


狼獣人が2人目と差し違える形になったこともあり

3人目はついにイェンの手で殺してしまう

一番仲が良かった相手はイェンに逃げてと言い残して息絶える


イェンは血塗れの自分の手を見ていつのまにか自分が

他人を傷つける事になんの感慨も抱かなくなっている事に気付く


4人目は逆にイェンから攻めていく形になって

イェンは影の中で姿はわからないが明らかに異形になってきていた

そして4人目の生き血の力で傷を治した狼獣人が目を覚ますと

残っていたかすかな人としてのイェンの人格が目覚めて

助けてとただ彼の胸に顔をうずめて呟き続けるしかなかったんだ


5人目は最強の子供

虫をいたぶるように手当たり次第に迷宮の失敗作を虐殺して馬鹿笑いする

その子供のおかげで強すぎて倒せない化け物に阻まれて進めなかった場所へ入り込む事ができて

狼獣人と仲間が秘密裏に研究していたウィルス解体薬を手に入れる

狼獣人とのコンビネーションで人間の姿のまま超人的な動きが可能になったイェンは

5人目にウィルス解体薬を打ち込む

うまくいけばウィルスが解体されて人間に戻るはずだったが

5人目はぐずぐずの肉の塊の化け物になって迷宮を埋め尽くし始める


迷宮が埋め尽くされようとしている中6人目が迷宮の鍵を持って現れる

6人目の力は細胞支配の力で、自分で自在にウィルスを操って変化する事も

ウィルスで変化した存在である狼獣人も操る事が出来る

なぜかその力の通用しないイェンは敵になった狼獣人と戦う事が出来ずに傷だらけになっていく


傷つくたびに体が精神を支配し始めてイェンは身も心も狼のような化け物に変わりはじめる

その姿を見た6人目は「なんて美しい姿なんだ」と呟く

イェンの意志に反して暴走した事から失敗作とされたが

実はイェンこそがウィルスに適合した新人類そのものだった


次に目が覚めた時イェンの目の前にあったのは燃えさかる屋敷と

体が半分引きちぎれた狼獣人の姿だったんだ


狼獣人はイェンに自分はイェンの叔父である事を家の紋章の入った指輪をみせてあかす

そしてイェンは彼と彼女の母が密会して作った子供である事実も

密会の前にすでに研究チームであった叔父は屋敷の主にウィルスを打ち込まれていて

イェンが化け物になってしまった原因も彼にあるということもあかされる

だから気にするなと彼はもうろうとする意識の中イェンに話す


それからイェンは自分の血で黒死病の人を救える事がわかり

父の代わりに世界中を回って黒死病を消していく

傷と共に増えていく思い出が彼女を励まし力づけていく日々

イェンは少しずつ大人になっていく自分を青空に胸を張って見せて

にっこりと彼へ向けて笑顔を送るのだった

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