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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
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858回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 627:ブラッドライン


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「!?……なんだ、この感じ」

突然、ゾワッと殺気を感じた。


判断に迷っていると『コレだから素人は』とグレッグが舌打ちをしながら言う。

そして彼は僕の左手を勝手に動かして、琥珀のダガーを起動し僕の周囲と自警団達を囲う形で植物を張り巡らせた。


「もしかして」

グレッグの判断から推測して僕は植物を媒体に重力の大罪魔法を発動した。


次の瞬間街を全体を爆炎が包み込んだ。

からくも重力場で熱波を全て防ぐごとに成功したが、力を使いすぎて少し血を吐く。


「様子がおかしい、みんなを退避させないと」


めまいを堪えながら僕は琥珀のダガーを構えみんなに脱出経路を教えようとした。

次の瞬間異変が起き始めた。


爆炎で火だるまになったミイラ達が、炎を自由に操り噴出する炎の化け物に変質し襲ってきたのだ。


どうも爆発で起きるエネルギーを前倒しで使用する事で、炎の噴出や拳で殴った箇所の小規模爆発を起こすモードにチェンジしたらしい。


エネルギーを使い切り灰になるまで襲ってくる、言わばフレイムサーヴァント。

そしてその火が燃え移った獣人も例に漏れずフレイムサーヴァントの一体になってしまう。


僕は即座に作戦を切り変え守りながら戦う事した。

味方の退路を確保しながらの戦いで形成は一気に逆転し、包囲する側だった僕達は手も足も出せない敵相手に退路を奪われていく。


最終手段が一つあるけれど、それをするにはみんなを街から退散させなきゃならない。

フレイムサーバント化したミイラは速度が火の手のように速くなり、次々に自警団を飲み込んでいく。


「なんとかしないと」

僕は窮地に立たされた仲間のいる方角を向き、山刀で衝撃の大罪魔法の斬撃を放って建物や障害物を吹き飛ばして道を作る。

そして進行先に転がる瓦礫に順番に蔓を這わせ高重力を生み出し、仲間の居場所まで超高速で落下すると、迫ってきていたフレイムサーバント達を衝撃波で消滅させた。


「ウッぐっ」

視界が霞み目から血が一筋流れる。


弱ってるところを見せるわけにはいけない、僕はすぐに血を拭い歯を食いしばる。

そして逃走経路を指差して「あっちだ!早く逃げてくれ!!」と叫んだ。


そんな中イタチ獣人と数人の獣人達が僕に駆け寄ってきた。

先日ヤマネコ獣人のフェリスと一緒にいた人達だ。


「フェリスが、一人で突っ込んでいっちまって」


「……よそ者のあんたなんか信用できない、プレイヤーを殺せば解決できるって」


「なんとかできねぇか、あいつ死んじまうよ」


彼らは心からフェリスを心配しているようだった。

昨夜は散々な目に遭わされていたが、彼らにとってフェリスはいい兄貴分だったらしい。


『安請け合いの代償だな』

グレッグが言う。


彼の不信を招いた僕の責任だ、なんとかしてみせるさ。

心の中でグレッグにそう答えると生命力探知をかける。


大罪魔法の負荷とあわさって呼吸がままならなくなるが、落ち着いて意識を集中しフェリスの生命力を補足する。


「あっちだ!」

僕はさっきと同じ要領で大罪魔法で道を作り重力を使い空を飛ぶ様に目的地に向かう。


その最中味方を襲うフレイムサーバントの群れを衝撃波で蹴散らし、負荷で体のあちこちが裂けて血が吹き出しそれが軌跡を描く中、激痛を紛らわすために叫び声をあげながらフェリスの元へと急いだ。

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