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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
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856回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 625:C3I(シースリーアイ)

 僕はその後現地マフィアの指揮で民間人の自警団が戦ってるいくつかのエリアの一つに加勢に向かった。


 軽く周囲を見まわした感じ自陣形勢不利な様子がわかり、

「ちょっと見てくるね」と言って僕は前線に飛び込んでいく。


 生命力感知で数では優ってるのに連携が取れず劣勢になっているようだ。


 何でだろうと思いながら近づくと幻影水晶伝いに自警団員の恐怖と混乱が伝わってきた。

 戦いに不慣れな一般人がヒステリーになりながら頭真っ白で戦っているようだ。


 意識を研ぎ澄まし思念を辿ると、比較的冷静な一般人とマフィアが恐慌状態の一般人のフォローで余分なリソースを割いてるのがわかる。


 窓ガラスを割って彼らの隠れている場所に飛び込み、一斉に放たれた投石や銃撃を交わして、その一団のリーダーの前に滑り込んでひょこっと顔を出す。


「こんにちは、ルガードさんのお使いできました、助っ人です」

 とにっこり言うと、リーダーはキョトンとした顔をした。


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 さてこういう場合に使える方法は、C3Iって言ったかな?

 指揮、統制、通信の英語の頭文字のCを集めてC3。

 それに情報のIをくわえてC3Iという、軍事的な専門用語だ。


 まず情報。


 獣人ミイラは指示をする存在がいないと統率が取れないようだ。

 僕らの遭遇した指示役は最初は 雪玲(シュウリン) 、次は異端審問官のプレイヤー。

 そしてミイラへの指示は指示役の目眩しができれば阻害可能だ。


 ルガードの話によると瀑岺会構成員がミイラと一緒に行動していたこともあるらしい。

 おそらく指示役として構成員を使っていたに違いない。


 そしてここは同時侵攻中のエリアの一つ、敵側の想定攻略対象はマフィアと民間人、

 つまりこの場にいる指示役は瀑岺会構成員の可能性が高い。

 そして敵側の狙いはミイラの素材にするための住民の生捕りだろう。


 それを踏まえた上で僕は周囲を生命力探知で探り、

 ミイラたちの位置と動向、

 そして能動的な動きをしている指示役らしき存在の位置を把握する。


 次は指揮。


 まずはマフィアと冷静な一般人だけを連れて、混乱している一般人は指示があるまで待つように言うと行動を開始する。

 戦端を切り敵の注意を精鋭が引き付けて、合図でその背後から味方が数で押し込むという作戦だ。

 このやり方ならば前線を精鋭が担う分、パニック状態の人たちの心的負担が減るため統率をとりやすくなる。


 統率と士気の向上そして効率的に敵を分断包囲撃破する事で、戦いをこちらのペースに持ち込み、数の有利で押し切ることが可能になる。


 次は統制と通信。


 僕は琥珀のダガーで壁に咲かせる花の種類、

 そしてその花の色を赤黄青(信号と同じ止まれ、注意、進め)で色分けし移動先と速度を指示、

 前衛と後衛を駆使してその場のミイラ軍団の撃破に成功する。


 勝利の自信と戦いの経験値が一般人たちの中にさらなる精鋭を生む。


 僕は幻影水晶でまとめ役に相応しい人材をピックアップして、他の地域に派遣して回すことで各エリアの練度を向上させ、こちらの支配域を着実に拡大させた。


 そして意図的に敵の戦力があるエリアに集中するように包囲網を敷く。

 ルガードに提案してもらった土地勘が最大限に活かせる旧市街地、そこが僕たちの決戦の場だ。

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