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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
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844回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 618: ある音楽家の夢

紗夜は倒れたデューに膝枕し悲しげな顔で「ごめんなさい」と口にした。

デューはそんな彼女に笑顔で答える。


「いいんだ、むしろ感謝してる。ずっと探していたものをようやく見つけることができたから」

彼はそういってこちらに手を伸ばす、それを握ると彼は柔らかく微笑んだ。


「前の世界で息絶えるまで探して見つからなかった命が響きあうデュエット…。

君との演奏楽しかったよ」


デューは嬉しそうに微笑んで息絶える。


握っていた彼の手から力が抜けて滑り落ちる。

僕は罪悪感に唇を噛む、しかし手の中の感触に我に返った。


僕の手の中にはメモがあった。

瀑岺会のアジトの今の場所を示すルートのようだ。


「ブラド、この街はこれからどうなるの?」


「ナイトウォーカーと協力下にある自治組織が治安維持に動く、瀑岺会の構成員程度なら十分対処できるだろう。問題はプレイヤーが制圧に出向いてきた時だが…」


「それに関しては陽動作戦でかき回せば結果としてこちらに回せる人員を奪える、前進あるのみだな」

ショウは本を読みながらそれとなく僕を急かす。


たしかにアジトに近づきプレイヤーとの戦闘とエリアの解放を繰り返していけば、解放されたエリアの制圧はより後に回されていく。

進むしかない、でも。


僕はデューを抱きしめる紗夜を見た。


「この先君には辛い旅になるかもしれない、どうする?」


僕の言葉に紗夜は一呼吸して、凛とした顔で僕を見た。


「あなたと行くと決めた、私にはこの旅を続ける義務があるわ。彼のためにも」

そういって彼女はデューの手を胸の上に合わせて「行ってくるわね」と小さな声で彼に別れを告げた。


アイリスは覚悟を決めた紗夜を励ますように、彼女にそっと体を寄せていた。

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