840回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 615: 幽牙盟
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今から数年前、ショウタイフォンがまだ前の世界にいた頃。
瀑岺会の構成組織「幽牙盟」の跡取りであった彼は、構成員たちに認められるため全てをかなぐり捨てて非道の道を行き、抗争で血の道を作りながら跡取りに相応しい地位まで名を上げつつあった。
周囲からの態度も変わりショウに跡を継ぐ自信が出てきた頃。
古株の構成員であり、彼の父に古くから仕える男がショウにある話を持ちかけた。
ショウはボスの子供として育ってきたが実は拾われ子であり、それが明るみに出ればショウは全てを失う。
バラされたくなければ幽牙盟を継いだ後、古株構成員の彼の傀儡になるようにとの脅迫だった。
ショウはその言葉に逆上し古株構成員を斬り殺した。
しかしそれは彼を出世レースから下すため他の瀑岺会構成組織に仕掛けられた罠だった。
ショウは躊躇いなく人を殺し任務のためならどこまでも冷酷になれる狂犬として知られていて、それを逆手に取られたのだ。
他の構成組織による根回しで反逆者として追われるハメになったショウは、逃げ込んだ街の中でファンソウハに出会い、彼の配下の少年ギャングの一員となった。
ソウハとショウは二人でギャングとして成り上がっていく。
そんな中ショウは自分の体が殺しの味を覚えて、人を殺したい衝動に駆られて不必要に人を殺してしまう自分に思い悩み始める。
ソウハはそんなショウをそれでいいと肩を叩いて受け入れ、その後不思議とショウは殺人衝動が薄れコントロールできるようになる。
自分が存在していいと初めて認めてもらえたショウは、自分がずっと求めていたものが居場所であり、それがソウハの右腕としての立場なのだと思うようになる。
そんな中ソウハの正体が瀑岺会の跡目候補の一人であり、そんな彼をショウの父親が息子の失態を挽回するため対抗勢力に与して殺そうとしている事がわかる。
ショウはソウハに関わった者たちが皆彼を慕って一つになる事で救われていくのをみていた。
彼は荒れた街中の裏社会勢力をまとめ上げ、行き場のない少年達のカリスマとして彼らを救うのを目の当たりにした。
その目的が瀑岺会内の影響力を増すためとはいえ、ソウハに救われ彼を信奉する者の一人であるショウにはソウハを生かす道しか見えなかった。
ショウはソウハの命を狙う父を暗殺するためにそばに近づく。
あまりに順調に父に会えた事を訝しがり、ショウはそれが父の企みであることに気づいて狙いを問う。
ショウの父はソウハと結託し、自らの死によりショウを後目に据えて生かす道を選んだのだとあかし、ショウに自分を殺すように言う。
父に家族らしい感情など持たれていないと思っていたショウは狼狽するが、父が銃で彼を撃とうとすると、反射的に手にした暗器を使い父の首を刎ねてしまう。
ショウは父の首を抱き慟哭する。
取り返しのつかないことをした代わりに、彼はひとまず窮地を脱する事ができた。
ショウは幽牙盟の頭の地位を手に入れ、ソウハに全面的に協力し、ソウハは瀑岺会の香主の座にまで上り詰めた。
世界の全てを手に入れられる。
ショウはソウハの側で彼の力を目の当たりにしながそう確信していた。
ソウハが日本に渡り、中国で留守の間を任されている間に、ショウはソウハが死んだと聞かされた。
山桐雄馬、その日本人と戦った後、彼の体の一部が焼け落ちた楼閣から発見されたのだと。
それから後のことは彼の記憶にはない。
自暴自棄で暴れ回り銃弾で蜂の巣にされて気がつけばこちらの世界にいた。
ショウは自分がこの世界に来たことはなんらかの意味があると感じ、ソウハに自分がいると知らせるため瀑岺会というなのマフィアを組織し、拡大させながらソウハを待った。
そして彼と再会した時、彼の側にはあの女ローグの姿があった。




