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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
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831回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 609: 守護者

ブラドと呼ばれた男の拳を交わすたびに、石畳は粉砕され拳圧は背後の柱を砕く。

人間とは思えない膂力だ、まるで女神が乗り移っているようにすら思える。


地面を粉砕しながら放つ蹴りは盾にしたぶ厚い木製の板すら真っ二つにへし折る。

なるほど、この身体能力ならプレイヤー相手でも良い勝負になりそうだ。


ブラドの攻撃を掻い潜り、蹴りや肘、膝などで攻撃するが彼の分厚い筋肉と鉄壁のガードがこちらの攻撃を寄せ付けない。


「あれをやるしかないか」


ブラドの攻撃の余波で吹き飛ぶ破片を交わしながら、僕は全身脱力し、軽くストレッチをして

ノーガードで挑発する。


ブラドは表情を変えず距離を詰め、僕と彼とのノーガードの撃ち合いが始まる。


撃ち合いは息つく暇ないほどに加速。

巨漢と普通の背格好の僕がそれをしているのは側から見ればリンチに見えるだろう。


「これでは自殺行為だ」

老人が呟くが、彼の奥の誰かが

「いやあれは違う」

と言った。


その言葉の通り、ブラドが次第に押され始め、僕の拳に吹っ飛ばされてダウン、周囲がどよめく。

僕は受けた打撃を自分の体に流して、自分の力と共にそのまま相手に打ち込む技を使った。


「あれは硬爪衝……瀑岺会剛陣拳の使い手バオの技だ」


老人の背後のフードの男は僕が使った技を言い当てる。

ブラドはすぐに立ち上がり、即座に体を槍のように動かし蹴りを放つ。

僕は彼の蹴りをかろうじて避ける。


硬爪衝は体重移動で行う技だが、フットワークで動かす前の重心にはそのまま衝撃が通る弱点がある。

ブラドはこちらの術理に気づいたらしく的確に僕の重心を狙った最速最強の攻撃を繰り出してくる。

さらに一撃、石畳の地面にクレーターができる。


避けた先に瞬間移動したのかと思わせる素早い二の槍。

避けきれず腹部に一撃喰らった。

僕の上半身の服が消し飛ぶ。


なんとか衝撃は逃したが内臓へのダメージで

口の中に少し血が込み上げる。


次が来る。

僕は口の中の血を吐き捨て崩れそうな姿勢を立て直し彼を見た。


柱を砕いた大砲のようなストレートが迫る。

さっきのダメージで硬爪衝の速度を出すのは難しい。


「それなら!」


僕は全身を脱力し彼の強烈すぎる拳圧に乗り、風に揺れる柳のように彼の背後に回ると後頭部に裏肘を叩き込み昏倒させた。


「今度はラオジェの舞葉功、間違いない貴様が山桐雄馬……」


そういうと老人の影にいた男はフードを脱いでこちらに歩いてきた。


「貴方は」

彼の顔を見た紗夜が驚いている。


「戦った相手の技を身につけたという話は事実だったようだな」

彼は僕を値踏みするような顔で見ると、憎々しげに睨みつける。


紗夜が刀を抜き、火蜂を数体出しながら僕と彼の間に割って入る。


「どうしたの紗夜」


「彼はショウ・タイフォン、瀑岺会幹部……ソウハの右腕よ」

そういうと彼女は臨戦体制に入った。

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