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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
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830回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 608: 死の聖母

暗闇の中を進んでいくと靴音の反響が変わって広い空間に出たのがわかった。

周囲を何人もの人間の気配に囲まれている。

招かれた場所はここらしい、僕は足を止める。


「何が目的だ」


暗闇の中から問う声がした。

気配が背後に周り、取り囲まれたのがわかる。


「この街を救いにきました」


僕の言葉の後沈黙が流れる。

緊迫した空気の中、それを制するように落ち着いた老人の声がした。


「どう思うかねブラド」


周囲に火が上がり視界が開ける。

水路を流れる油に火が明かりになっているようだ。

僕の眼前に一人の大男が背中を向けて立っている。


剣を携えたローブ姿の人々が僕と彼を中心に円形の空間を作っていた。


大男が上着を脱ぎ捨てると、その背中には死の聖母の刺青が彫られていた。


メキシコにおける死の女神サンタムエルテ。

ローブ身に纏い死神の鎌を持った聖母。


その偶像はそれが纏うローブの色で加護の種類が異なる。

彼の刺青の女神は黒のローブを身につけている。

それは最も強く呪詛を寄せ付けず善悪の区別もなく非道な願いでも叶える魔性の色だ。


刺青はそれを背負う覚悟を示す。

その背中に彼が背負ってきた数多の死と罪の気配が染み込んで見えた。


そこにいるだけで空気が灼け付くような威圧感。

間違いない彼がこのグループにおける最大戦力だ。


火の手は広がりサンタムエルテの地下聖堂が全容を表す。


「君が本当に我々の待っていた男か確かめさせてもらおう」


祭壇の前に佇む老人がそう言うと、大男が振り返り暴風のような殺気を僕に浴びせて構えをとる。


「やるしかないみたいだね」

僕がそう言って構えをとると、大男は人間離れした速度で僕に襲いかかってきた。


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