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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
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792回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 573: 忘却の海レーテー

 目的地に近づき、僕は妙なものを見た。

 目玉が飛び出し肌も赤黒く変色し水死体のようにボコボコに膨れ上がった漁師達が薄ら笑いを奇形の魚を船に積んでいる。

 悪臭が船の上まで臭ってきた、まるで腐った魚を網で引き上げてるようだ。


「この近辺じゃ妙な魚しか食えなくて、港町の連中もみんな頭がおかしくなっちまってるって話だ」

 クガイが僕にそう言った。


「しかしこの匂い、気が滅入ってくるな」

 ミサゴはそう言いながら毛繕いする。


 確かに生ゴミの山を前にしてるような腐臭だ。

 風もないのに船が引き寄せられ退路もなく。

 進むほどに匂いが強くなっている。


「これを」

 ガルギムさんはそう言って風見鶏のようなものを差し出した。


 手に取るとまるで風を受けているかのように回る。

 風で動くカラクリが仕込まれているらしく、鶏は翼を動かし首を上下させ口を開いて鳴く。


 見ていると腐臭が消えて風が頬を撫でた。

 僕以外のみんなも同じ体験をしたらしく驚いている。


「何が起きたんだ?」


「この辺りは邪神による事象介入の影響が大きい、有るものが無くなり無いものが存在する空間だ。だから現実に存在する風を知覚させるこれを使って正気に戻す必要がある」


「俺たちはすでにおかしくなりかけてたという事か」

 ミサゴはそういうとうんざりしたように首を横に振る。


 先ほどの漁船を見ると積み込んだ魚の奇形はともかく、船員達の身体的な異常はなくなって見えた。


「この風見鶏は竜の加護を受けた木材でできていて、所持していれば精神を守ってくれる。イハンスレイに踏み込む者に持たせてくれ」

 

 そう言ってガルギムさんは風見鶏を僕らに手渡した。


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