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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
千の夜と一話ずつのお話
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80回目 呪いの森のおぞまし姫

昔々あるところに二目とみられないほど醜い容姿をした姫様がいました。

しかし父である王は彼女に娘として愛情を注ぎ、臣下や国民に彼女を愛してくれるように頼みました。

姫はそのおかげで表面的とはいえ皆に愛され健やかに育ちました。

でもある日父王が病で床に臥せ姫に一つの言葉を残して亡くなると、臣下や国民の態度は一変し姫を醜い化物として扱い始めたのです。


年端もいかない姫にはとてもつらい経験でしたが、彼女は誰を恨むわけでもなく皆に追いやられるまま立ち入りを禁止されている呪われた森へと逃げ込んでいきました。


寄る辺をなくした彼女はこれからどうしたらいいか途方にくれました。

しかし彼女はお父さんの言っていた言葉を思い出します。

「お前の一番好きになれるものがお前を助けてくれるだろう、一番好きになれるものを探すんだよ」

姫は森の中で好きになれるものを探し始めました。


森の中にはたくさんの危険な動物や化物がいましたが、姫はとても賢く様々な書物を読みそれらと敵対しないように上手に付き合う方法を知っていましたので、彼女は襲われることはありません。

それどころか姫は化物が好きになれないだろうかと話し合いをしようとしました。


ゴブリンやコボルトやリザードマンにオーク、みんなそれぞれの生活があり彼女は敬意を払いながら彼らの事を教えてもらい、自分にできることをひとつづつしてあげました。

そんな彼女の優しさと思いやりに化物たちはたちまち姫の事が大好きになり、一人また一人と彼女に同行していきました。


ふと姫が振り返るとそこには姫を慕った化物たちが大行列をなしてついてきています。

「あらあらどうしましょう」

彼女についてきてくれる化物たちに申し訳なくなった姫はご迷惑になるといけないのでとお別れしようとしましたが、そんな真摯な態度で自分たちを扱ってくれる姫の事を化物たちはもっと大好きになってしまうのでした。

姫は化物たちみんなとお友達になる事でとりあえずその場をまとめ、自分たちが帰ることのできる家のような場所を見つけようと思いました。

化物の一人に教えられ姫がたどり着いたのは森の奥深くに眠っていた古くて大きな城の廃墟でした。

姫はそこを化物たちと一緒にきれいに掃除して飾り付けをすると、みんなでそこで暮らし始めました。


一方その頃国の中では森で姫が化物を連れて拠点を構えた事が物議をよんでいました。

みんな姫が国に対して復讐しようとしていると考え恐れたのです。

国を襲う前に殺してしまおうと口々に言い始めました。

しかし彼女を殺すために森に入る勇気のあるものは一人もいませんでした。


姫は化物たちとの暮らしの中で次第に幸せを感じ始め、みんな平等に好きだけれどそれは実はみんなが自分にとっての一番大好きな物なんだという事に気づき、化物たちに祝われる誕生日会で最高の笑顔を浮かべました。


姫は人々から「呪いの森のおぞまし姫」として語り継がれるようになりました。

でも彼女は豊かな森の奥深くの化物たちの小さな国のお姫様として、末永く幸せに暮らしましたとさ。


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