表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
794/873

786回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 567:追跡

 もうダメだと思った瞬間、濁流の中からファルスタッフが現れ開いたキャノピーの奥にヴカの姿があった。


 彼はファルスタッフの船首で僕を掬い上げコクピットに乗り込ませるとキャノピーを閉じた。


 僕は一瞬のことで目を白黒させたが、濁流と瓦礫による激しい揺れで正気に戻り、レバーを握り船の出力を上げた。


「来てくれたんですね」


「喋ると舌を噛むぞ」


 ヴカはぶっきらぼうに言いながら船体ダメージを減らすために忙しそうに操作を行なっていた。

 僕も彼に倣いレーダーによる状況把握と、マニピュレーターによるダメージ軽減操作をする。


「パートナーなら一人で死ぬような真似をするな」

 彼は小さい声でそう言った。


「もしかして心配してくれたんですか?」


 照れ隠しに少しいじわるな返答を返すと、彼はムスッとした無言で応えた。


「助けに来てくれて嬉しかったです」

 僕は謝罪の代わりに素直な気持ちを言う。


「礼なら全部終わってからだ」

 彼がレーダーを指で叩く、前方を確認すると出口の扉が閉ざされているのが見えた。


 濁流に押されてあっという間に壁が近づいてくる。

 なんとかするには空間跳躍が必要だが目標値設定をする時間がない。

 勘で飛ぶしかないが失敗すれば障害物に体を切断されて二人とも酷い死に様を晒す事になる。


「ビビったのか?」

 ヴカは僕をおちょくるように言う。

 普段の僕の態度に対する意趣返しのようだ。


「舐めるな!」

 僕は自分の中の弱気を吹き飛ばすように叫ぶとスロットルを入れ空間転移を起動した。


 周囲が眩しい光に包まれ、船が海に着水し水柱を上げる。

 転移成功だ、ヴカが加速装置を最大に切り替えた。

 船速を上げたファルスタッフは巨大な波の壁を突き破りナイトシェイドを追跡する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ