表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
789/873

781回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 562:グリダロッド争乱

 目的地に到着し水中でコクピットを開くと、全身が水泡に包まれ船着場の片隅に浮上した。

 

 生命力探知を行い周囲を探ると、クガイとベイルはすでに行動を始めているようだ。

 グリダロッドの海兵達がちょうど僕を取り囲む形で接近している。

 僕は急いで荷物の上に登ってやり過ごす。


 見つからないように気をつけて周囲の状況や地形を探り動く。


 兵士たちが行き交う中、その頭上の鉄骨や屋根を伝って移動していく。

 覆面をつけた兵士達の目はどこか虚ろで酷いクマがある。


 この基地はブロックさんが昔主任研究者として所属していた場所、イーストウォッチタワー事件の原因になった殺戮兵器「ネオヴィクトリア」がある。


 爆発に巻き込まれた人間を燃料に火力を無限増殖させるカオスバースト爆弾の射出装置、僕らの目的はそれにパーツとして組み込まれる予定の七宝輪の一つだ。


 ブロックさんは急進派の暴走を止める為に兵器について洗いざらい告発しようとしたところ、イーストウォッチタワー事件の虐殺の濡れ衣を着せられ賞金首にされた。


 グリダロッドの暴走はある男の関与が起因しているらしい。

 外部からの出資者、混沌兵装に使うオブジェクトを持ち込んだ黒服の男アルヴ。

 黒騎士達と行動を共にしているあの男だ。


 最初のカオスバースト爆弾は木の板の形をしていて、被験者の血を染み込ませる事で被験者の感情の高まりに呼応して起爆する仕組みだったらしい。

 ヤブイヌのアーバンはその話を複雑な表情をして聞いていた。


 扉の前に見張りが二人、流石に隠れて通るわけにはいかなさそうだ。

 僕は小石を拾い紅玉の腕輪の力で空気の光の屈折率を強化し、不可視化したそれを向かい側の壁に投げて音を出す。


「なんだ?」


 見張りが気を取られた隙に飛び降り様首に膝蹴りを入れて気絶させ、もう一人がこちらに振り向く前に背後に迫りチョークスリーパーで頸動脈を締める。


 見張りがもがき体を痙攣させ意識が朦朧としたところで幻影水晶で頭の中を覗く。

 基地の内部構造はブロックさんとヴカの記憶のままのようだ。


 それと兵士の頭の中の妙な部分に気づいた。

 思考回路の部分に蜘蛛のようなものがいて、思考をコントロールされているらしい。


 何らかのオブジェクトによるものだろうか、幻影水晶で蜘蛛に干渉するとあっさりと操作権が僕にうつった。


 手を離し、試しに敬礼を命ずるとキレのある動きで僕に敬礼した。

 どうもこの基地は兵士を洗脳して不眠不休で働かせているようだ。


 僕はもう一人の操作権も奪うと、二人から兵士の配置状況と巡回方法、そして人員交代のタイミングを尋ねた。


 兵士の予備の服のありかを聞き、クガイとベイルに報告する。

 僕らは兵士の服装に着替え、交代人員を気絶させて隠し、人員交代で巡回に紛れ込む形で基地の奥に進む。


 僕の方では気絶させた兵士を支配下に置けることから、それを利用して手勢を警備にあたらせることで侵入経路を作り先に進む。


 跳ね橋を降ろすための遠方のレバーを植物で動かし橋を下ろし、異常に気付いた兵士がレバーに集まるのに混ざって橋を渡りそれとなく離脱。


 木箱と壁を使って飛び高い窓から研究棟に侵入、通気口に入り地下の重要機密エリアを目指して進む。


 通気口の中で紅玉の腕輪を使い物性変化で扉を開閉不能にし、兵士たちの動きを制限して地下への抜け道に出る。

 そこから植物で壁に足場を作って下層に向かって降りていく。


 深部到達。


 そこには得体の知れない奇形の混沌兵装達と、人魚の様な奇形の魚が大量にあり、それをゾンビの様に食べている科学者集団の姿があった。


「これが研究所……?」


 少し吐き気を催していると、その状況をブロックさんが説明し始めた。


 急進派連中は邪神信仰者が多く、魚の事を経典と呼び食べる程神への理解が深まると宣っていたらしい。


 彼らの開発した混沌兵装も邪神の声を聞き従っているとの事だが、ブロックさんはジャンキーどもの戯言だろうと私見を述べていた。


 研究者達はおどろおどろしい鼻歌を歌いながら作業している。

 手足を縛られ猿轡されたモンスターが何かに改造されている、それは兵器の生体部品のようにも見えた。


 まだ救出可能な捉えられたモンスターを解放し、彼らが騒ぎを起こしているうちに先に進む。


 道すがら資料を斜め読みしたところ、邪神への理解を深めるとオブジェクトに対する理解が深まるらしい。

 より強力な混沌兵装が作れるためこの基地を管理する将軍が意図的に広めたようだ。


 それによって混沌侵蝕が加速して海が腐っていて、グリダロッドの国土への侵食も始まっているとデータにある。


 しかし戦力の優位確保の為に黙殺されていると記載されていた。

 上層部もとっくに狂ってるのかもなとヴカが口にした。


 そうこうしているうちに僕はネオヴィクトリアの研究棟エリアまでたどり着いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ