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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
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780回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 561:侵入経路

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「テストテストもしもーし!ヴカさん聞こえてますか!?」


『……うるせえ』

 十五回目の通信でようやく返事があった、いかにも寝起きといった声だ。


 今僕は小型の潜水艇の中にいる。


 グリダロッドの軍事基地に接近した後、僕らは紅蓮地獄とパラディオンで敵を揺動、潜入用の潜水艇を使い基地に潜入する作戦に出た。


 研究所で用意できた潜水艇は三艇、僕とクガイとベイルがそれぞれ別ルートから侵入する事になった。


『生きながら棺桶に入る気分はどうだ』


 彼からの通信で僕はため息を吐いた。

 はっきり言って乗り心地は最悪だ、棺桶サイズの小型潜水艇に寝そべった状態で閉じ込められてるんだから。


 目を閉じるとヴカの視界が目に入った、通信機として使用している混沌兵装の機能だ。

 耳掛け型のイヤホンの様な小型形状ながら通信と視覚共有ができる高性能品。


 まだコントロールがうまくできず、目を閉じただけでヴカの下着姿と酒瓶まみれの汚い部屋の様子が目に入ってしまう。


「お酒飲むのもいいですけど、ナビゲート頼みますよ」


 作戦会議でヴカとブロックさんの記憶を頼りに作った地図の暗記と、彼らのナビゲートを受けることになった。


 クガイはトマ、ベイルはガフールさん、僕はヴカと通信で繋がってる。

 トマとガフールさんはブロックさんがついて指示を出す手筈だ。


『……なんで俺を選んだ、ただの酔っ払いの役立たずだろ』


 彼の言葉の通りみんなには通信役はヴカじゃない方がいいと言われていた、でも無理を言って僕が彼にしてもらったのだ。


 僕は生命力探知で多少無理が効く事と、ヴカと直接通信できた方が速断で動けると思ったからだけど、それ以上の理由がある。


「パートナーだからですよ」


『……』

 ヴカは深く呼吸をして無言になった。


「しっかりしてくださいよまったく……、黒い奴が出て来るまではカッコよかったんですから」


『……ふざけたことを言うな』


「はーい、それじゃそろそろ基地が近づいてきたので一旦通信切りますよ」


『おい待て』


「ふーっ」

 僕は通信を切り深く呼吸した。


 センサー機関が目的地の接近を知らせている。

 たった三人、しかも侵入経路はバラバラで敵の本拠地に入り込むのだからさすがに緊張する。


『いい感じに付き合えてるじゃないか』

 クガイから潜水艦の通信機で声が届いた。


「聞いてたの?やだなぁ、恥ずかしい」


『他人のためにいつも一生懸命なんだなお前は』


「……そんな立派なもんじゃないよ」


『雄馬は俺の旦那さんなんだから、それ忘れちゃ嫌だぞ』

 照れていたらベイルから釘を刺された。


「無事に帰れたらいっぱいよしよししてあげるから楽しみにしてて」

 ベイルは嬉しそうにやった!と答え、クガイはそんな彼を笑う。


 おかげで少し緊張がほぐれてきた。

 僕は最終経路を確認し潜水艦を操作して基地に潜入した。


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