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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
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732回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 517:強襲、甲殻獣

「なんじゃこりゃあ!?」

 ベイルとリガーが驚きの声を上げた。


「みんな帆を広げて!ガフールさん操舵お願いします」

 僕が指示を出すとみんな急いで動き出した。


 僕らは戦闘態勢に入る。


 高さ20mはありそうな巨大カニが振るい降ろしたハサミをマックスがシールドバッシュで弾く。

 弾き上がったハサミの速度をベイルが加速させカニの体制を崩し、ガフールがすかさずその隙間を縫って船を走らせる。


「んにゃにゃあ!!」

 追って来る何匹かをリガーが円月輪を振るい道を殺して明後日の方向に向かわせるが、まだ何匹も追撃してくる。


 船を包囲する蟹が振り下ろすハサミを交わすたびに起きる波で船がぐらつく。

 ハサミが横薙ぎに船のマストを狙う、ガフールは船を転覆寸前まで傾け、帆の操作でハサミを舐めるように船を動かし回避した。

 

「さすがの操舵技術ですね、……うっぷ」

 マックスが船酔いでフラフラし始めた。

 この状況はあまり長引かせるべきじゃなさそうだ。


「大罪魔法は控えた方がよさそうだし、ベイルサポート頼める?」


「まかせろ!」


「みんなカニに向かって銛を投げて、ベイルはそれを加速ね」


 そういうと僕はロープを結んだ銛を投げ、ロープを掴む。

 ベイルが加速させた銛がカニの甲羅に突き刺ささり、僕はカニの足に着地した。


 みんなが投げた銛が次々にカニに刺さる。

 僕はそれを足場にして飛びながら移動し、カニの甲羅の隙間を狙い山刀に衝撃波を乗せて斬り裂く。


「ギヂッギヂヂ!!」

 カニは悲鳴を上げるような音を出して動きを早める。

 僕はカニの足から足に飛び移り、一本ずつ切り落としてひとまず一体倒した。


 僕を危険視したのかカニが僕に向けてハサミを振り下ろし始める。

 僕はそれを利用しハサミの側面を蹴り、他のカニのハサミに飛び乗ってカニの胴体に駆け上がった。


 僕を狙ったハサミ攻撃がカニを貫き息の根を止める。

 僕はそのハサミにしがみつき、振り上げた瞬間カニの目に向かい飛び降り目を切り落とす。


 視界を失ったカニが暴れ回り同士うちをし始め、その混乱を利用してカニの足を落としていく。

 そうこうしている間に紅蓮地獄とパラディオンはカニの群れから距離を離すことができたようだ。


 問題は思ったより船の速度が早くて帰りそびれたことだ。


「どうしようかな」


 カニを攻撃しながらどう戻るか考えていると、水中から不意打ちを喰らい宙に体が投げ出されてしまった。


「ッ……不味い」

 空中の僕に向けてカニ達がハサミを振るう。


 身構えた僕の背中を誰かが突き飛ばし、カニのハサミは空をきる。

 僕は海に落ちるまでの瞬間にカニ達のハサミが切り離され空に舞うのを見た。


 視界の中に悠然と羽ばたく一人の鷹獣人ミサゴの姿が現れ、彼は手にした長剣を鞘に収めながらつまらないものを見るような目で僕を見ると飛び去っていった。


「あっ、ちょ」

 僕は彼を呼び止めようとしたが海に落ちて言葉が途切れた。


「ぶはっ、せっかくなら船まで送ってくれても良いのに」

 ハサミを切り落とされたカニ達は戦意を喪失し去っていったようだ。


「おーい雄馬ぁ!大丈夫かぁ!?」

 ベイルがそう叫びながらボートをヤブイヌ達と漕いで近づいてくる。

 僕は彼らに手を振り笑顔を見せた。

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