表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
730/873

722回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 508:海賊

「ちょぉっと待ったあああッ!」


 大声と共に大柄な獣人がロープでスイングして飛び込んできた。

 彼は飛び蹴りで貴族と海兵数人を吹き飛ばす。


 彼は海兵が手放したメイスを空中でキャッチし、斬りかかってきた海兵のサーベルをへし折る。

 海兵を蹴り飛ばしながら迫る二人にメイスを投げて頭に反射させてダブルノックアウトさせた。


 そうこうしているうちに飛び込んできた女神を模った 船首像(フィギュアヘッド) が僕らの海賊船ともども軍艦を粉砕した。


「「どわあぁああ!?」」

 仲間達が何が何だかわからず叫び声を上げた。


 謎の男は「飛び乗れ!」と仲間達に叫び、僕とベイルを小脇に抱えて、沈みゆく船の残骸を八艘飛びして船を乗り換えた。


 彼が乗り込んだ船には見覚えがあった、紅蓮地獄だ。

 それに僕を抱えている男、立派な海賊服に身を包んでいるが間違いない。

 シャチ獣人のモーガンだ。


 彼は僕らを甲板に下ろすと、乗り込んできた上等海兵達相手に二刀流で無双して海に蹴り出した。


 彼は僕を見ると「悪いな、来るのが遅れちまった」そう言ってニヤリと笑う。


 紅蓮地獄の他の船員も手玉に取るように海兵達を軽くあしらい海に放り出す。


「クガイ!貴様こんな真似をしてタダで済むと思うな!」

 他の軍艦に保護された貴族が叫ぶ。

 その言葉に応じるように艦隊の包囲網が紅蓮地獄を包み込む。


 モーガンはどうやら紅蓮地獄の主人、溟海八武衆、貪狼のクガイだったらしい


「おもしれぇ、やってやるぜ!!」


 そう言って彼は手にした二本の剣の力を解放し、混沌侵蝕が海域に一気に展開する。

 海から氷山が突き出し数隻の軍艦を一度に沈め、暴風が吹き荒れ船が一気に加速した。


 彼の持つ二本のオブジェクトは、スクラマサクスという古代ヨーロッパで使われていた片刃の直剣に似ていた。


 スクラマサクスの意味は「深い切り傷を負わせる刃」

 戦士の地位を示す証としても使われたという。

 恐らく彼がこの船のキャプテンである証だ。


 氷山が次々に生まれ、その迷宮に海軍の艦隊が立ち往生させられていく。


 そんな彼らに対しオブジェクトの暴風を纏わせた紅蓮地獄の大砲が放たれ、軍艦が吹き飛び、その破片が嵐のように飛び散って周囲の軍艦のマストが使い物にならなくなった。


 クガイが発生させた風を身に受けていると、体の痛みが少しずつ和らいでいくのを感じた。

 仲間達の傷も塞がっていく。


 対して先ほどまであれほどの脅威だった艦隊が、あっという間に無惨な残骸に変わっていた。

 服もボロボロになった貴族の男は茫然自失状態で残骸の中へたりこんでいた。


「おっさん!お前らの姫さんに伝えとけ。近々迎えに行くから女磨いて待ってろってな!」


 クガイはそう言うと笑いながら紅蓮地獄を大洋に進めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ