716回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 502:叛逆の決意
サメを使った食事をした後、僕はこの後の作戦をみんなに説明した。
「脱出してから今までの間に考えた事なので粗もあると思うので、なにか意見があったらお願いします」
ヤブイヌや海兵達は真剣な顔をして話し合っている。
「ベイルはどう思う?」
「俺は難しいこと考えるのは苦手だけど、面白そうな案だと思うぜ」
ベイルの頭を撫でると彼はへへへっと笑いながら尻尾を振った。
みんなは相変わらず難しい顔で話し合っている。
ちょっと心配になってきちゃった。
「俺は賛成だ、これなら行けるんじゃないか?」
アーバンがそう言うと、ヤブイヌ達も納得した様子で「なかなかやるなカシラも」「人間の割に大したもんだぜ」なんて言いながらうなづいている。
ガフールさんと海兵達は突き詰めた話をしている様で、ようやく話がまとまったらしく僕を見た。
「悪くはないな、少し無理はあるがそれを通せる戦力はある。現状においてはこれ以上の手段はないだろう」
ガフールさんのその言葉に僕は胸を撫で下ろす。
海の専門家の同意を得られたのならば、この作戦が通用する可能性は高いという事だ。
しかしガフールさんは真剣な眼差しで僕を見つめていた。
「どうしたんですか?」
「君は軍港に攻め込むことの意味がどういうことか理解してるな?」
彼は僕の覚悟を確認したいらしい、それは他の海兵達も同じ様だ。
「無実の仲間が処刑されかかってるんだ、助けるためなら僕はなんだってする」
ガフールさんは僕の目をじっと見つめると根負けしたような顔をして目を閉じた。
「お前達もいいんだな?」
彼が海兵達に尋ねると彼らは応!と威勢よく答える。
「良いだろう乗ってやる。死んだ部下の仇だ、連中に一泡吹かせてやろう」
ガフールさんは僕に手を差し出し、僕はその手を握り握手を交わした。
彼の手は熱く力強い、その決意が伝わってくる様だった。




