707回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 495: 最初の一歩
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あの後僕とベイルは近くの商船に用心棒として雇ってもらい海に出た。
道中商船の上得意のお客さんが、どうしてもコーヒーが飲みたいと言ってトラブルになった。
困っていた船員さんに考えがあると名乗り出て、僕は今商船のキッチンにいる。
「よく煎った大麦をしっかり蒸らして、こうして濃く淹れる、と。どうぞ飲んでみてください」
僕の言葉に半信半疑にながら、船員達はカップに注がれたコーヒーを口にした。
「ありゃま、こりゃ驚いた!煎った大麦なのにコーヒーの風味がすんでねぇの!?」
「ミルクと砂糖入れてもうんめえだ、カフェオレになっとるだよぉ」
「普通大麦煎ったやつで淹れるのって麦茶って奴だろ?なのにこんなコーヒーみたいなの出来るんだな」
ベイルがカフェオレ風のそれを飲みながら僕に言った。
「代用コーヒーって奴だよ、意外といけるでしょ?」
「助かっただぁ、お客さんがどうしてもコーヒーが飲みたいっていうんで困っちまって」
「寝坊して、お客さん用のコーヒー詰み忘れたお前がいかんのだろうがこん馬鹿たれめ」
そう言いながら船員は下働きの船員の頭を軽くこづく。
「イテッ、へへへ、すみませんねどうも」
船員は反省の様子のない彼にやれやれと呆れた様子だ。
「世話かけたね用心棒さん、あんた物知りだなぁ」
「雑学好きが幸いしたみたいで良かったです」
ベイルがピクリと反応して耳を動かす。
そのまま甲板に向かった彼についていくと、ベイルは鼻をヒクヒクさせて位置を特定した。
「雄馬、海賊が来たぞ。あっちにいる」
「よし予定通りだ、やろうベイル」
僕達は事前に打ち合わせた通り動き始めた。




