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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
千の夜と一話ずつのお話
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71回目 幸運のコイン

僕は家に帰るとベッドに身を投げ出し、帰り道の途中で怪しい占い師から買った500円玉を眺めていた。

彼はそれを幸福のコインだと言い、500円で売るから買わないかとそう言った。

500円玉を500円で買えというのだ、何かの冗談か、それとも偽物のお金か。

僕は偽物のお金かなにかの仕掛けのある玩具なんだろうと思いながらそれを買ってみた。

占い師がそのコインの説明をしようとしたが、僕はあえて彼の言葉を遮る。

「こういった不思議な物は自分で真価を見つけるのが楽しい、だから聞かないでおくよ、楽しみは取っておきたいから」

そう言った僕の顔を見て占い師ははじめはあっけに取られたような顔をしていたが、

すぐににんまりと含みのある笑顔を浮かべ、

「君みたいな子に持ってほしいと思っていたんだ、どうかその幸運を楽しんで」

そういうとくっくっくと笑った。


天井の明かりに透かして見ても特に変わりはない、

表と裏面が同じ柄というわけでもないし、弾いて何度も同じ面が出るわけでもない。

これのどこが幸運なんだ?

そう思いながら僕はふと思いつき、そのコインを使って自販機で買い物ができるか試してみることにした。


自販機には本物の硬貨を見分けるためのセンサーがある、

もしこのコインがただの本物の500円玉ならそのまま500円と認識し飲み込んでしまうだろうけれど、

その時は僕は損も得もなくただ500円を500円で買ったというよくわからない自分の行為に呆れるだけだ。


スリッパを履いて部屋着のままアパートの横の自販機に500円を入れる。


硬貨を飲み込む音、そして金額表示の電光板には500と表示された。

「まぁそんなものかな」

さほど感慨を抱かないまま僕はついでにジュースを一本買うことにした。

ガタンとジュースが取り出し口に落ちる。同時に自販機からファンファーレが鳴った。

当たりでもう一本、と電光板に表示されている。

「これが幸運?ささやかだなぁ」

なんて笑いながら僕はボタンを押してジュースを出すと家に帰った。

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