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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
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699回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 489:招かれざる客


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 三日後、移送当日。


「それにしてもお前さんこの地方の情報怖いくらい詳しいにゃ」

 看守に牢屋を出され連行されながらリガーは言った。


「皆さんを待つあいだ、時間がたくさんありましたから」

 マックスは兜の下でにこにこしながら言う。


 僕の欠点を理解した上準備してくれていた脱出経路、なんだか申し訳ない。


「待たせてごめんね」


「え!?いえいえ、けして雄馬殿を攻めてるわけでは……」

 マックスは僕の反応にあわあわした。

 その様子が少し可愛い。


「もうすぐ処刑だってのに嫌に元気な連中だな……」

 僕らの様子に看守が引き気味にポツリと呟く。


 脱出計画がバレちゃうかもしれない、僕はみんなにどんよりしようと耳打ちした。


 僕たちはわざとらしいくらいどんよりして見せる。

 そんな僕らを見て看守達は困惑した。


「なんなんだこいつら」

 

「海賊なんて頭おかしいのしかいねえだろ」


「それもそうか」


「雄馬のこと頭おかしいって言ったか?」

 ベイルがビキィッと擬音が聞こえそうな顔で看守を睨む。


「抑えて抑えて」

 僕が彼を宥めるとリガーがまぁたしかにちょっとおかしいけどにゃとニヤニヤしながら呟き、ベイルはそんな彼の尻尾を握りしめて飛び上がらせた。


 連絡通路に近づき僕はそれとなく琥珀のダガーで周囲の生命力を探知する。

 人員配置についてはおおよそマックスの下調べ通りだ、僕は問題がないことを知らせるため咳払いを一つする。

 ちなみに予定変更の合図は欠伸だったけれど、そうならなくてよかった。


 ガフールはこうなることを見越して僕のオブジェクトを見過ごしてくれていたのかもしれない。


 連絡通路に差し掛かり僕は琥珀のダガーで看守一人の足をつたで引っ掛け転ばせた。

 ベイルが転びかけの看守から剣を奪い、踵を後頭部に打ち付け昏倒させながら剣を僕に投げる。


「おい、貴様ら!」

 気を取られたもう一人の看守からリガーが鍵を盗み、マックスが体当たりで壁にぶつけて気絶させ。


 僕は投げられた剣を残りの看守に蹴り飛ばし、それに気を取られた看守の延髄に回し蹴りを入れて気絶させた。


 リガーに手早く手錠を外してもらい、逃走経路を走ると道中に奪われた僕らの武器が置かれていた。


 僕らは武器を回収、目的地に向かう。

 その途中に現れた看守が数人現れた。


 僕は看守の攻撃の下を掻い潜って蹴り倒し、続く他の看守の直線攻撃を身を屈めて交わして、立ち上がり様に背中で相手を突き上げる鉄山靠で吹き飛ばした。


 次の敵の攻撃を壁を蹴って跳んで避け、敵の後頭部を蹴った衝撃を使い後回し蹴りで次の敵の頭を蹴り吹き飛ばす。


 みんなもそれぞれ看守を倒し、僕らは予定通りゴミ置き場に到着した。


「うえ、外に運び出す荷物ってゴミかよ!」


「それ以外なにもないしにゃー」


「ゴミ捨て場で待たされる僕様のことも考えて欲しいよまったく」


 自然と会話に混ざって来た知らない声に僕らは一斉に警戒した。

 声のした方を見ると積み上げられたゴミの山の上の方に、一人の男の子が足をぶらぶらさせて座っていた。


 彼は僕をじっと見つめるとニヤリと笑い「山桐雄馬みーつけた」と口にした。


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