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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
千の夜と一話ずつのお話
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7回目 明日の俺と今日の僕

僕は多重人格者だ、ただ普通の多重人格とは少し違う。

未来の自分「俺」過去の自分の「ボク」そして今の自分の「僕」がいる、

未来の自分は未来の事を知ってる、過去の自分は僕が忘れた事を知っていた。


そして「俺」も「ボク」も僕の体に意識を表すまでは

それぞれ本来の時間で生活を送っているらしく、

彼らの話を聞くのが僕のささやかな楽しみだった。


彼らは僕の体を使って今の時間での生活を体験したがっていて、

僕は彼らから情報を貰ってその報酬に1日だけ、

会社に有給を申請して彼らに体を預ける事にしていた。


彼らに体を預けた後、自分の意識が戻った時にまず確認するのはスマートフォンのアドレス帳。

アプリによって僕たちはそれぞれに別のアドレス帳を使っていた。

そこにいくつか人間の名前や時々企業や団体の名前が増えたり、

減ったりするのを見るのがおもしろかった。

それだけで彼らがその日何をしてきたのかなんとなく理解できたからだ。

好きか嫌いかでいうと僕はきっと彼らの事が好きなのだろうと思う、

こんなともすればリスクもある事を許すどころか、楽しんでさえいるのだ。


対して今の「僕」はあまり好きじゃないというのはある。

嫌いな今の僕の人生を「俺」と「ボク」が変えてくれる、

そんな事を期待してしまっているのかも知れない。


幼なじみの柊ほのかはそんな僕を叱る。

結局今生きてるのは僕だから、僕以外に誰も今の自分を変える事なんてできないと。


彼女だけには僕の多重人格の事を教えてあり、

「俺」や「ボク」になっている時に面倒を見て貰う事もある。

彼女としてはボクの事が弟みたいで気に入っているらしく、

逆に俺に関しては僕が急にかっこつけをしはじめたように見えて苦手だといっていた。


今日も喫茶店で僕が他の自分になっていた時に起きた事で、

彼女が知っている事を聞いた。

もちろん飲食代は僕のおごり、

でもそれだけで一人の人間の面倒をみてくれるのだから、

彼女のお人好しさには幼なじみながら少し心配になる。


ボクは彼女の事を気に入っていて何でも話すので、

昨日ボクのしていた事は手に取るように彼女が教えてくれる。

その話し方の楽しそうな雰囲気につい笑ってしまうと、

彼女は頬を膨らませて怒る。

そして特大フルーツパフェを追加した。

やれやれ、今日の報酬も高くつきそうだ。

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