689回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 480:敵影
「まずは部下の非礼を詫びよう、皆気が立っていてな許して欲しい」
ガフールはそう言って困ったような顔をした。
「護衛艦って言ったよにゃ?何を守ってるんにゃ?」
リガーの言葉に軍人達の空気が少しピリッとした。
「積荷だよ」
ガフールは気にせず続ける。
あの布に包まれた巨大な柱はやっぱり余程重要なものらしい。
「中佐、モンスターなどこの場で始末したほうがよいのでは」
そう進言した兵士に対してガフールは躊躇わず横面への拳で返答した。
「海賊怖さに調べもせず一般人を殺すなど、シラクス統合国の名に泥を塗るつもりか、恥を知れ」
「申し訳ありません!出過ぎた事を申しました!」
兵士はガフールに対し率直に謝罪した。
ガフールは部下からの信頼の厚い人物らしい。
話せばわかってもらえるかもしれない。
僕はとりあえず彼に事情を聞くことにした。
「どうして僕たちを捕まえたんですか?」
「海賊の取り締まりだ、この辺りに海賊が出没しているとのの情報があってな。取り調べが終われば解放させてもらう、協力してもらえるだろうか?」
その言葉を聞いて仲間のみんなを見ると、みんなうなづいてくれた。
了承の言葉を言おうと口を開くと、突然鐘が鳴らされ観測班らしき兵士が周囲を監視し始めた。
周囲を見るといつの間にかあたりが霧に包まれていた。
兵士達の話では霧の向こうに戦艦らしき影が見えたらしい。




