658回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 452:再会の約束
試合の後控え室に向かい、ベラに差し入れのドリンクを渡すと、彼女は嬉しそうにそれを受け取った。
「傷の具合はどう?」
「このじゃじゃ馬娘、病院に何度押し込んでも逃げ出してきやがる」
グローツラングはそう言ってやれやれとジェスチャーする。
「ハイエナ君が塗ってくれた軟膏がすごい効き目ですっかり傷も塞がったし、病院でじっとしてるなんて性に合わなくてさ」
ベラはそういうとおもむろにグローツラングに斬りかかり、グローツラングも「おっとと」と驚きながらも斬撃を避け、近くにあった剣を拾ってベラと斬り結ぶ。
「元気なのはわかったから控え室で暴れるなよな、こっちが怪我しちまう」
ベイルはさりげなく僕を庇いながら言った。
「へへへ、怒られちった」
「浮かれ過ぎだ、まったく」
グローツラングがそういうと、ベラは少し眉を顰めて彼かれを肘でこづく。
「なぁ雄馬、お前本当に剣闘士やめちまうのか?」
ベラは残念そうな顔で言う。
「僕を待ってる人がいるんだ、それにやらなきゃいけない事も」
「そっか、それじゃ仕方ないよな……でも絶対に帰ってこいよ、お前がまた剣闘士やりたくなるくらい熱い試合見せてやるからさ!」
「楽しみにしてるよ」
「おい雄馬、頼まれてたアレだがうまくいきそうだぞ。どうする?」
ストレードさんが控え室に来て声をかけた。
「すぐ行きます!それじゃまた」
「おう、またな雄馬!」
僕とベイルはその場を後にしてアリーナへと向かった。




