表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
650/873

644回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 438:弔いの花

 暗闇の中でまばたきをすると、僕が幼い頃暮らしていた家の前にいた。

 僕の使っていた三輪車、車庫には父さんの車と母さんの乗っていた軽自動車がある。


 頭の中に誰かの思念が伝わってきた。

 言いようの無い悲しみと後悔と自己嫌悪が渦巻き、聞き取れないほどの速さで何かを思考している。


 扉を開けて玄関に入ると小さな男の子が僕に飛びついてきた。

 その顔を見て僕は息をのむ。

 小さい頃の僕がそこにいた。


 僕は小さい頃の僕の涙を拭い頭を撫でると、彼は必死に泣くのを堪え家の中に歩いて行った。


 ダイニングに入ると、窓の外から見慣れない人たちが生気のない目をして並んでこちらを見ていた。

 机の上の新聞が目に入り、彼らは父さんが殺した人だと思い出す。


 TVにいろんな殺人事件で人が殺される光景が映し出されている。

 殺す側の視点のようだった。


 微かな花の香りに気づき手を見ると、いつの間にか僕の手には白い花があった。

 母さんの好きな花だ、父さんはいつもこの花を母さんの命日に供えていた。


 廊下に面した母さんの部屋の扉からぼんやり灯りが見えて、僕は扉を開く。


 光の粒子を放つ血のように赤い花に包まれ、母さんの亡骸が眠るように横たわっている。

 彼女の重ねた手の上に白い花を置くと、視界が白くぼやけて消えて、体が宙に浮くような感覚がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ