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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
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636回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 430: さだめを背負う者

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 貴賓室から飛び去る屍竜キャリバンの首の部分に女王エロイーズが融合しているのが見えた。

 

 ペストマスクの老人の話では彼女がメルクリウスに向かい聖王プロスペロを刺激すると、この島を滅ぼす災厄が引き起こされてしまう。

 そんな事させるわけにはいかない。


「行かなきゃ、ベラをお願い!」

 僕はベラを仲間に託すと、側にあった瓦礫を駆け登り、背後から高速で迫るフレスベルグに乗って飛ぶ。


「雄馬ぁーっ!」

 コロシアム脇の塔からミサが飛び降りてきて、僕は彼女をキャッチした。


「ミサ、なんでこんな所に」


「お願い私も連れて行って、きっと役に立つから」


「ダメだ死んでしまうかもしれないよ」


「自分が生まれてきた意味を失うより、命がけの方がマシだわ」


 ミサの母親は未来視の力で自分が死ぬとわかっていながら、ヘルズベルを守る為に必要だからとミサを産んだ。

 彼女にとってその事実は自らの存在の根幹をなすアイデンティティに違いない。


 それはむげに奪えば生涯を左右してしまう程に重い使命なのだ。

 だとしたら僕には彼女を置いていくなんてできない。


「仕方ない、しっかり掴まってて!」


「うん!」


 僕はフレスベルグを加速させ女王の後を追う。

 女王は不思議な力でどんどん加速していく、なんとかメルクリウスに辿り着く前に止めなくちゃ。


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 その頃、飛行するフレスベルグを遠方から眺める全身甲冑の黒騎士がいた。

 黒猟騎士団団長レオは漆黒の剣を構えフレスベルグに狙いをつける。


「邪魔はさせねえ」

 その言葉と共に放たれた雷撃をレオは斬り裂き回避する。

 雷撃はあたった石畳を弾き飛ばし、側の建物を粉砕した。


「貴様、あの時のモンスターか」


「覚えててくれるとは感激だぜ」

 ドルフはおどけた様子でブレードアローを背中から引き抜き構えを取る。


「リターンマッチだ、受けてくれるよな?」

 ドルフのその言葉に、レオは兜の下で目を細める。


「よかろう、来い」

 

 双方が武器を構え、互いを見据える。

 建物の一部が崩落し、床に落ちるのを合図に二人は衝突した。

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