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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
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631回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 425: 道化師の仮面

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 貴賓室では女王エロイーズが現状を飲み込めず半狂乱になっていた。


「妾に逆らうなど断じて許せん!即刻あの者らを捕らえ、この場で処刑しろ!!」


 女王の命令に対し誰も反応せず、彼女は狼狽した。

 その場には女王派の貴族達もいたが、彼らも神妙な面持ちで黙りこくっていた。


「なぜだ、なぜ動かぬ!」


「女王陛下貴女はやり過ぎたのです」

 そう言ったのは道化師のスタンだった。


「剣闘士山桐雄馬の活躍でフォンターナ派の求心力が高まり、焦った貴女はガルドルによる支配の強制促進と、飛行型棄獣の開発へのヘルズベル臣民の投入を行なった。それは貴女の存在を恐怖の対象とするに十分な理由だった」


 反論しようとしたエロイーズをスタンの鋭い眼光がたじろがせる。


「そして貴女は知らなかった。施政者には国の為を想い心血を注ぐ者、そして勝馬に乗るのが上手い者の二種類がいることをね。貴女は自分を神輿にした勝ち馬になることで女王となったお方だ、流れが変われば担ぎ手は居なくなる」


 エロイーズは自身の味方のはずの貴族達を見る、彼らは皆目を逸らし女王から逃げるようにその場をさっていった。


「他者に自身の都合を押し付け、それを満たすものにだけ価値を与えてきた暴君エロイーズ。貴女はこの国の王として価値がないと皆に見限られたのです」


「馬鹿な事を、国とは王の座る玉座に過ぎぬ、民衆など国を彩る飾りであろう。飾りが王を裁けるものか!」


「国とは民衆が作るもの、そして王とは国の象徴。国のあり方を変える時、民衆の代わりに捧げられる人柱それが王の本質です。貴女も自身の兄上を殺す事で国を変えたではありませんか」


 スタンのその言葉にエロイーズは思わず青ざめた。


「国のあり方に反発し民衆が蜂起する事があれば、貴女にこの国で生き残る術はないのです。ヘルズベルは変わろうとしている、その為の生贄として貴女を求めている。王であろうと固執するのであれば、貴女の価値はもはや処刑場で散る事にしかない」


 スタンの言葉は暗にエロイーズに対する降伏を求めていた。

 それを理解した上で彼女は声を荒げる。


「うるさい!そんな馬鹿な話があるか!!」

 エロイーズは手にしていた扇をスタンに投げつけ、彼の仮面が外れその下から青年の顔が現れた。


「貴様、その顔覚えがあるぞ。ブロードヘインの田舎貴族のセクトだな。なぜ貴様が私の国にいる!!」


 彼はもはや自らを偽る必要はないとばかりに纏っていた服を脱ぎ、その下のスーツ姿を晒すと恭しくお辞儀をしてみせる。


「恩人を救う手助けを頼まれまして、そのついでの国盗りでございます」


 そう言うとセクトは不敵な笑みを見せた。

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