630回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 424: ある復讐の結末
「あぐっ、……グゥッ」
壁にできたクレーターから剥がれ落ちるようにジュリアはアリーナの床に倒れ、それでもなお立ちあがろうと体を起こした。
そんな彼女の首に彼女が所持していたサーベルの切っ先が突きつけられ、ジュリアは息を飲み眼前のベラベッカを見上げた。
ベラベッカは静かな顔をして、自身の内面と向き合うようにジュリアを見つめていた。
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城に仕掛けられたオブジェクトを破壊した僕らは、次々にアリーナに転移された。
ベラとジュリアの勝負の決着は既についているらしく、ベラが満身創痍のジュリアにサーベルを突きつけ佇んでいた。
「殺せ!そしてドゥームブレイドを携えた勝利者として妾に仕えるが良い!!」
女王が高々とそう叫び、ジュリアはその言葉に目を見開くと、憎しみに顔を歪めて俯いた。
僕はベラの隣に立つと彼女を見る。
「なぁ雄馬、私はどうしたら良いと思う?」
ベラはジュリアを殺す気が起きない自分に戸惑っているようだ。
「自分を偽らずに、君が心から望む結末を選んで」
「私の復讐の結末……」
ベラはサーベルを投げ捨て、親指を立てて見せる。
剣闘における敗者に対する慈悲、殺さないという決意を示すジェスチャーだ。
そしてそれは女王に対する叛逆をも意味している。
観客席は響めきながらも、その決断を認める拍手が広がっていく。
その状況に女王エロイーズは狼狽えていた。
家臣になにか指示を出しているようだが、鐘の音は聞こえない。
エドガーも約束を果たしてくれたようだ。
正気を奪われることのなかった観客達は僕らの勝利を讃え、万雷の喝采を上げている。
「私達の勝ちだな」
ベラは僕に振り向き清々しい笑顔を見せる。
僕らはそんな彼女に笑顔でうなづいた。




