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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
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614回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 409: 目撃者を追え!

 僕は事件の起きた繁華街にやってきた。

 システィーナさんはアリスとエスメに買い物を頼んでいたらしい。


「私のせいで二人が……」


「システィーナさんのせいじゃありませんよ。気を落とさないで、僕らがなんとかします」

 気休め程度の言葉だが、システィーナさんは少し落ち着きを取り戻したようだ。


「どうかお願いします」

 彼女は僕の手を握りそう言った。


「来たか雄馬」

 ストレードさんが僕に声をかけてきた。

 さすがフットワークが軽い。


「今どんな状況なんですか?」


「少しばかりおかしな状況でな、犯人側の一人が脅迫を伝えるためにわざわざ捕まりにきたんだ」


 拘束されて座っている男の目は真っ黒に染まっている。


「脅迫内容は?」


「決勝戦が始まったらその場で降参しろ、だそうだ」


 女王の狙いはベラの左目だ。

 ジュリアをドゥームブレイドの所有者にして、メルクリウス侵攻に利用するつもりだろう。

 ドゥームブレイドの後継者同士の戦いの勝敗に条件がないなら、降参させるのが確実に勝てる手段ではある。


「つまらねぇマネしやがって」

 ベイルが悪態をつく。


 ふと拘束されている男が僕の顔を見た。

 彼は僕を確認するとニヤリと笑って舌を噛み切った。


「なっ!?おい!!」

 ストレードさんが駆け寄るが、男はのたうち回った後ピクリとも動かなくなった。


「これはやっかいだな、脅迫に何かの媒体を使ったならそこから追うこともできたが……」


「メッセージを犯人側のメンバーが伝えてその場で死んでしまうと、手がかりがなくなりますね」


 人間関係を洗うとしても、女王に洗脳されている時点でそちらから追うのも厳しそうだ。

 目撃者を頼ろうにも、街行く人に黒目の人が多すぎる。

 全員共犯者の中手がかりを探さなければならない状況だ。


「それならこいつで」

 僕はポーチから琥珀のダガーを取り出す。


「街中でオブジェクトは使うなって言われただろ」

 ベイルが僕の腕を掴んで制止した。


「生命力探知ほど強い力じゃないし、地底に使うから地上のアミュレットには影響ないよ」


「地底?なにするつもりだ?」


「植物とお話しをね」

 そう言うと僕は琥珀のダガーで地面に触れる。

 ダガーの内部から微かな光が明滅し始め、僕にある情報を伝え始める。


「急いで走って行った人がいたら二酸化炭素の空気中濃度が増えるでしょ、植物は空気中の二酸化炭素濃度が高いほど光合成の速度が速くなる。だからその分養分の量が他の植物より高くなるんだ」


「にかんさたん、なんだって?」

 ベイルは混乱した。


「つまり養分量の多い植物を辿ればアリスがいるって事か」

 陽介が食い気味に僕に尋ねた。


「可能性レベルだけどね。それに環境要因で関係ないルートも出てきちゃうから、分担してそれぞれのルートを追跡する必要がある」


「それでもなんの手がかりもないよりはましだ!早く教えてくれ」

 陽介は居ても立っても居られないという様子だ。

 気持ちは僕も同じだからよくわかる。


「よし、それじゃ行くよ」

 僕は琥珀のダガーの出力を上げ、アリスたちを攫った犯人達が辿ったルートを探り始めた。

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