605回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 400: 大罪魔法の力
全身黒い甲冑を纏ったブルーノが発する異様な雰囲気に、僕は反射的に後ろに飛び距離を離した。
空を軋ませる様な禍々しい音が鳴り響いている。
ブルーノの力によって引き起こされた重力異常に大気が影響を受け空振のような現象が起きているようだ。
ブルーノを中心に黒いドーム状の力場が発生拡大し、会場の重力が増していく。
体が重くて上手く動けない。
ブルーノが両腕に二本の巨大な黒剣を持ち、顔を上げてこちらを見た。
彼が一蹴り前に飛ぶと突風のように僕に迫り横薙ぎに左手の剣を振るう。
「くっ……うわっ!?」
かろうじて回避するが剣が持つ強烈な重力に引き寄せられ宙に浮かされ、彼は右手の剣を高く構えてギロチンのように振り下ろした。
僕は咄嗟に地面から斜めに木柱を出し、自分の体を弾き飛ばしてブルーノの攻撃を回避した。
「ガッ……ハッ」
ブルーノが近づくほど強くなる重力のせいで強烈な速度で地面に落下した。
起き上がるのがやっと、攻撃どころじゃない…どうする。
僕はポーチの中の琥珀のダガーを握り、ブルーノを見る。
彼は大きく跳躍し、落下力を込めた渾身の一撃を振り下ろしてきた。
僕は琥珀のダガーで地面に穴を開けて落下し、ブルーノの腕を掴んで穴の底に叩きつけ、投げた種を巨木にしてブルーノを押しつぶす。
しかし彼が手をかざすと巨木が浮いて僕に向かって猛烈な速度で衝突。
巨木を真っ二つに引き裂きながら、ブルーノの斬撃が僕の腹部に直撃した。




