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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
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597回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 392: 天秤にかけられた命

「それってどういう事ですか……?」

 僕はスモーカーさんの言葉の意味が理解できず困惑した。

 ブルーノはメルクリウスにいる、それに剣闘士をやるような人でもないはずだ。


「名前だけ同じの別人に決まってらぁ」

 ベイルは僕の肩を抱いて、おどけてそう言った。

 彼なりに僕を落ち着かせようとしてくれているようだ。


「試合形式はチームの代表者とゲスト剣闘士との一対一、相手剣闘士の名はブルーノ、身体の特徴は牛の獣人、メルクリウスから黒騎士がスカウトしてきたとあります」

 スモーカーさんは淡々と言った。


「旦那様」

 そばに控えていたシスティーナさんが見かねて控えめに抗議する。

 しかしスモーカーさんは揺るがない。


「こういう事は明確に知った上で選択するべきだ」

 彼は僕らに選択する余地を与えようとしているらしい。

 迷いながら戦うなんて命取りになりかねない。

 女王が仕掛けた罠であるなら、こちらの動揺を誘うのも計算のうちのはずだ。


「どうする?雄馬君、棄権するかね」

 おそらく僕がここで棄権すれば、フォンターナ派の計画は頓挫するだろう。

 どのみちブルーノの身柄があちら側にあるのならば、ここは打って出るしか無い。


「やります、……僕がブルーノと戦います」


「雄馬……」

 陽介が心配そうな顔で僕を見る。


「無理するなよ、俺がやる。お前にとって大事な人だろ」

 そういうベイルに作り笑いを見せると、僕は大丈夫だよと答える。


「少し風にあたってきます」

 そう言って部屋を出た僕の後をベイルがついてきた。


「一人にしとけねぇ、お前が嫌がってもついてくからな」

 彼の決意は固い様だ。

 僕は苦笑し、ベイルと一緒に外に出た。

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