585回目 オカルトカルチャーカンパニー
近未来悪化していく人口減少を食い止めるため、政府がカルト宗教を利用し始めた。
国民に積極的にカルト宗教の信者になるよう斡旋し、結果的に人口減少問題は解決に向かい始めていた。
しかし問題がいくつか起こり始める。
行政支援などの影響でカルト教団が増えすぎたため、本物の神や神秘の力を持つ教団も現れ始めてしまったのだ。
そうした本物は政府にとって都合が悪いため、専門のエージェントを送り込み、潰させていた。
そのための政府関係機関の一つが「オカルトカルチャーカンパニー」である。
オカルトカルチャーカンパニーでは、回収した神の力を持つ道具や、超常能力を持つ人材を使い本物のカルト教団を秘密裏に潰して回っていた。
自分自身の目や耳で見聞きしたことの真偽がわかる御神体の少年と、Loosers(思春期の貴重な時期にネットの陰謀論や都市伝説などの胡乱な情報を頭に詰め込み実用的な知識を身につけられなかった人に対する政府が提唱している蔑称)の青年のコンビの場合。
ターゲット捕捉のため関連しそうな都市伝説や陰謀論を青年に並べ立ててもらい、少年に「これ本当です」と指摘してもらって捜査を進めていく。
少年は危険すぎる存在であるため、存在しているという事を秘匿し、カンパニーが保護している。
カルト信者ではない男性の場合。
そうした人物の元には政府に雇われた女性が派遣されセックスを行いその場で解散。
以降出産までを女性が行い、子供は政府が育てるという方向で子作りをさせられる。
カンパニーの古株の男は今までに三回経験したので多分3人はどっか知らないところに自分の子供がいるんだろうが実感はない。そう思い込もうとしていた。
少年に知りたいですかと言われて興味本位で自分の子供の様子を見ると、なんか少し会いたくなってしまう。
最低な父親だから会わないほうがいいんじゃないかと悩むが、少年は自分も同じ境遇で会えるものなら会いたかったですからと寂しげに笑う。
カルト教団
・障碍者を支える社会を作るために、医者に健常者を幼児期に障碍者認定させて取り込んでいく教団。(地雷少年の古巣)
・精神と肉体を切り離すことで神性に近づくことができると信じ、人によって会話、薬、手術、肉体切除を行われ、重度ほど階級が高くなりビルの上層の楽園と呼ばれる場所に隔離されていく。片腕のない女の子がビルのあちこちを彷徨いている。彼女は片腕の切除で天使になれた稀有な才能な持ち主であるという、失った腕の側の背中に見えない翼があり奇跡を起こす力を持つ。
・祈りにより全てが解決するという思想を持つ教団。祈りによって願いが叶うことで皺寄せで無関係な地域や人々に大きな不幸が起きるが、教団は信奉者を増やし肥大化している。
・神を敷設していく教団、ウゴウゴした不気味な芋虫みたいなものを神と崇めてあちこちの物陰に置いている。強制的に全ての人に対して友情を感じるようにするため人の精神を蝕み狂わせていく。
・人形教団、形に魂が生じると信じる教団。仲の悪い家族を素体にし、仲のいい家族の設定の人形を作って中身を入れ替え人形を燃やしてしまう。友達がおかしくなったから助けて欲しいと頼まれ調査したところそういった事情だった。家族仲が悪いだけで魂を焼却処分された子供は他人に優しくいい子だった。
・アムリタ教。信者は神の木と呼ばれる大樹から取れる葉を噛んで不眠不休でブラック企業で働き、神の葉のおかげで仕事ができ社会貢献できますと感謝してお布施していく。葉自体は無料提供で調べてもただの葉っぱだが、教団員が噛むと麻薬の効果があり、沢山食べると発狂する。限界まで食べて暴れ回る人が出るが麻薬は検知されないトラブルになってきてる。人々の幸せのためと言って怪しい薬を作って流通させているのもわかった、飲んだ間だけ幸せな気持ちになれるし体も蝕まれないが薬がなければ幸せを感じない体になってしまう。
・九十九ちゃんねる。ネットワーク上の巨大掲示板が付喪神となった電子世界の神を中心とした教団。二人の青年が開発と運営を行なっていたが、片方が事故で亡くなりもう一人の青年も運営から手を引き、管理者がないのに存在し続けるネット上のミームの発生源にしてハイヴとなった場所。開発運営者の一人はルーザーであったとも噂されている。
無心論者ゆえに神器使用時の精神汚染のないやさぐれたおじさん、ルーザーの青年、歩く地雷少年の三人はこんな具合のカルトを相手に対決していく。




