576回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 374: 君の頼れる相棒に
その後僕らはロメロに話をして彼のメンバー入りを決め、その事をスモーカーさんに報告して、みんなで一緒に夕食を済ませて解散した。
部屋に戻りお風呂に行こうとした時、ベイルが僕の腕を掴んできた。
「どうしたの急に」
「あーその、なんだ」
ベイルは困ったように頬を掻き、しばらく目を宙に泳がせた後、意を決した顔で僕を見た。
「こういう時はやっぱあれだなッ!」
そう言ってベイルは僕を抱きしめる。
僕の顔面はふかふかな胸の毛皮に埋まった。
今日は試合も練習もなかったから汗の匂いもなくて、ベイルの毛皮はいつもよりふかふかモフモフでおひさまの匂いだ。
「わぁ、ふかふかだぁ」
うっとりしながらもふもふしていると、ベイルが僕の頭を優しく撫で始める。
「もしかして僕悩んでる顔してる?」
「露骨になぁ」
ベイルは困ったように笑う。
「あちゃー、隠せてなかったか」
ポーカーとか絶対に向いてないな僕は。
「ごめんね、悩み顔しない約束だったのに」
「いいんだ、よく考えたらお前が悩んでるってわかった方が俺も助かるから」
「どうして?」
「お前にとって一番頼れる相棒でいたいからよぉ、お前が困ってること全部助けてやりてぇんだ」
「ううっベイルぅ、君って奴は!」
僕は泣きそうになりベイルの胸の毛皮をもふもふしまくった。
「よしよしモフれモフれ、気がすむまでモフったら二人でどうしたらいいか考えようぜ」
「うん、ベイル大好き」
「へっへっへー、その一言が聞きたかったんだよなぁ」
そう言うとベイルはとろけそうな笑顔になって僕の顔に頬擦りした。




