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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
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575回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 373: 帰り道の内緒話

 闘技場を後にして、僕らはひとまずテムのおすすめのパン屋さんにいくことになった。

 闘技場の裏側すぐ近くにあるからか、剣闘士達がたくさん来店している。

 筋骨隆々の男達が思い思いの好きなパンを物色している姿は、少し微笑ましいものがある。


 甘いパンを沢山トレイに乗せた大柄な獣人なんて特に可愛い。

 その中の一人に私服姿のロメロがいて、彼は僕に気づくと目を丸くして顔を赤くし、帽子を深く被ってそっぽを向いた。

 今度手作りのお菓子でも差し入れしてあげようかな。と僕は小さく笑いながら思う。


 目玉焼きトーストやいろんなパンを買って、みんなで食べながら帰る。

 たしかにオススメなだけあって、半熟目玉焼きに特製バターソースが絡まってすごく美味しい。

 テムは帰り道が別なはずだけど、ご一緒したいです!との事で楽しそうに陽介と談笑している。


 僕はというと何故かベイルにフィギュアスケートのペアのツイストのように投げ飛ばされ、キャッチされ、そこからアクセルラッソーのように片手で僕を持ち上げ、僕もポーズを決め二人で回転しながら往来を進んで道ゆく人たちの拍手を浴びていた。


 冷静になるとどんな状況だこれ。

 ベイルに降ろされて着地。

 みんなは僕の顔を見ると少し残念そうな顔をした。


「どうしたの?」


「まぁ、後で話すわ」

 ベイルはそう言うとみんなを見て「俺に任せとけ」と言った。


「たのんだ!」


「よろしくです」


「ふむ、なんだか知らんが任せよう」


 と、みんなは口々にベイルに答え、ベイルは得意げにふっふっふと笑った。


「なんか仲間はずれにされてるみたいだよう」


 僕がむくれると、ベイルは僕の頭を撫でて朗らかに笑ってみせた。


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