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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
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564回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 362: 溶岩窟の番人

 ガスの中から飛び出したのは、蠍の姿をした六本足の人の様な化け物だった。

 蠍の化け物は僕に向かい尻尾を振り下ろしてくる、先端の毒針から紫の液体が噴出した。


「うわっ」

 毒液がかかりそうになり身構えると、ロメロが身を翻して僕を庇い、そのまま球状になって尻尾攻撃を弾き飛ばした。


「ギギッ」

 蠍はそういってガスに隠れようとする。

 山刀を振り殻の隙間に一撃見舞う、しかし蠍の体がガスの中に入った瞬間手応えが消えて、山刀が空を切った。


「大丈夫か?」

 ロメロが周囲を警戒しながら言った。


「うん、ありがとうロメロ。君は?」


「鎧が少し溶けた、支障はない」


「あれはなんなんだろう、ガスに入った瞬間消えたみたいだった」

 しかしガスの中を動きまわる姿は見えている。


「ギルタブルル、この溶岩窟の番人とも呼ばれているクリーチャーだ。ガスの中にいる時は実体がない、かすかなガスの切間から実体化して襲ってくる」


「つまりガスの状態も意識して迎え撃たなきゃならないわけか……ガスから出る時わずかに動きが違ってた。そこに気をつければ対応できるかも」


 僕の言葉にロメロはうなづき、僕らは背中合わせになり周囲を警戒する。


 空気の動きに合わせてガスが怪しく揺らめいていく。

 そこを縫って影が走り、再び攻撃が来る。


 次の一撃もロメロが弾き、僕がカウンターを仕掛ける。

 しかし刃が表面を撫でる程度ですぐにガスに身を隠してしまう。


「なんとか先手を打つ方法を考えないと」


「雄馬後ろだ!」


 ロメロに言われ振り向き、飛来していた爆弾コウモリを交わす。

 爆弾コウモリは地面にぶつかり爆発、爆風でその部分のガスが穴を開けた様に消し飛んだ。


「これだ、ロメロ叫んで!」


「なに?」


「理由は後で!わあああああ!!」


「大声を出すのは得意ではないが……うおおおお!!」


 僕は叫びながら走り、ロメロは球体になって転がって爆弾コウモリの特攻を回避し続ける。

 ギルタブルルの影が迫り、僕は背後から迫るコウモリの距離を確認しロメロに叫んだ。


「ロメロ!今だ!!」


 彼は僕の声を聞いてこちらに進路を変える。

 僕はコウモリの突撃を避け、ガスを吹き飛ばしてギルタブルルの姿をあらわにする。

 ギルタブルルにロメロの体当たりが命中、そして彼に続いていたコウモリ数十匹の特攻が入り大爆発を起こした。


 僕は吹き飛んでいくギルタブルルの腹部に山刀を叩き込み、その体を上下に両断した。


 拍手する音がしてそちらを見ると、ペストマスクおじいちゃんが拍手をしていた。


「やんややんや、お見事お見事」


「死にかけたってのに呑気な爺さんだなぁ」

 ベイルが呆れながら、ロープを掴む。


「ガスが増えてきた、次が来る前に離れた方がいい」


 ロメロに言われて周囲を見ると、爆発で消し飛んでいたガスが再び広がり、ギルタブルルと思わしき影が数体、こちらの様子を伺っているのがわかった。


「うひゃー、こりゃたまんないや」


 一体倒した事で警戒したのか、襲いかかってくる事はないようだ。

 しかしおっかないので僕らはベイルの助けで段差を登り、次のエリアを目指して進んだ。

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