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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
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552回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 350: 合同訓練

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「なんで俺だけーッ!?」


 青空の下、陽介はグローツラングとストレードさんの二人に集中砲火を浴びながらトレーニングを積んでいた。


「はははは、ほらほらしっかり交わさないと訓練用でも死ぬぞ」


「オラーッしっかり攻撃もせんか!」


「ヒィッ」

 陽介がグローツラングに突きを放つと、容赦なく守りの開いた横腹にストレードさんのフックの一撃が入った。


「げっふう!?」


「敵の攻撃から意識を逸らすな、ほらもう一回行くぞ!」


「誰か助けてーッ!」

 悲鳴をあげる陽介を見て僕は苦笑する。

 今日は訓練所が改装中なので、ベラ達の訓練場を借りてトレーニングをしている。

 うっかりドルフにもらった塗り薬の話をしたため、じゃあ手加減抜きでいこうとなり、陽介の現状がある。


「大丈夫かな陽介」


「よそ見するなんて随分余裕だな」

 ベラの一撃が迫り、僕は頭を横にそらして木刀でそれを受け流した。


「ごめん、つい気になって」

 ベラの攻撃は最初は不規則で読みにくいが、癖がつかめると軌道が読みやすくなる。

 それに彼女の体重と筋力ではどうしても攻撃が軽く、片手でも対処できてしまう。


「ベラ、一度攻撃のリズムを意識してみて」


「リズム?」


 僕は彼女に例として三連斬撃を仕掛ける。


「一、ニ、三。こんな感じ」


「えー、めんどくさいな」


「じゃあやらなきゃいけなくするね」


「なにっ」


 僕は一二三のリズムで途切れなくベラに攻撃を仕掛け続ける。

 彼女が体捌きで横に抜けようとしたり、バックステップで距離を離そうとしても一切抜け道をつくらず、攻撃以外で僕の攻め手を防げないように追い詰める。


「なんだよ、普段の人柄と違って厳しいじゃねえか」


「聞かん坊には相応のやり方をしなきゃね」

 

「クソッ」


 ベラの攻撃のリズムが僕の攻撃に合わせてリズムに乗ってくる。

 次は全身の筋肉の効率的な使い方だ、僕は攻撃を防がせる形で、彼女がその動きの攻撃をするよう誘導していく。


 リズムに乗り、全身の筋肉を連動させた攻撃にする事でベラの斬撃の重さが強くなってきた。


 ベラが左の壁を蹴り右に飛びながら袈裟斬りを放つ。

 重さを増した一撃で僕の木刀が弾き飛ばされ、ベラは流れるように背後に回り、僕の首目がけ横薙ぎの一閃を放つ。


「取った!」


「残念でした」

 僕は後ろ回し蹴りでベラの剣の柄頭を蹴って木剣を蹴り飛ばすと、その勢いで左の手刀を彼女の首元で寸止めした。


「くっそ〜、行けたと思ったのに」


「感覚は掴めた?」


「まるで自分の体じゃないみたいだった、今のはなんだったんだ?」


「攻撃にリズムをつける事で無駄な力を無くして、筋肉の連動を効率的に行える動きをさせたんだ」


「リズムなんてつけてたら攻撃が読まれちまうと思ってたけど、こんな効果もあったんだな」


「ベラは不規則な攻撃をするつもりで無自覚のリズムで攻撃してた。それなら意識的にリズムを使って攻撃した方が力が入るんだ。戦ってる最中にリズムを変えれば読まれる心配もないしね」


「難しい事はよくわからないけど、リズミカルに戦えば良いんだな!」


「ものすごくざっくり言うとそんな感じ、ベラの場合あとは実践で覚える方が早そうだ」


 その後僕らは昼近くまでトレーニングとスパーリングを行い、その後来週の試合に向けた装備品の買い出しに向かった。

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