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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
千の夜と一話ずつのお話
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5回目 ホームカミング

内容が納得いかなくてちょっと遅れました

不治の病に冒された息子と、彼を救うために奮闘する医師の父親。

彼はダメでもともと気休め程度に試してみた病気を敵に見立て、

ヒーローがそれと戦うイメージを描かせる免疫治療が効果を現し始め、

現代医学では解決できないが人体の潜在能力なら解決できるのではと意気込む。


母親が来なくて寂しがる彼をなだめてごまかす。

治療は順調だったが彼の誕生日が近づくにつれてなぜか急に効果がなくなり病状が悪化し始めた。

途方に暮れながら彼の手を握りなにか気休めに話しでもしなければと、

病気のモンスターと戦うヒーローはどんな姿をしているのかと聞いた。


彼は紙にその様子を描いた。

病気のモンスターは見るからに獰猛そうな化け物で、

それに果敢に立ち向かう二人の人間の姿。

それを見た父親は絶句した、それはタイツやアーマーに身を包んだ英雄ではなく、普段着の自分と離婚した妻が手をつないだ姿だったからだ。

息子は寂しそうにママがいなくてパパが戦えなくなっちゃった。と言った。


父親は息子の病に向き合う事ができなくなり逃げ出した妻に対する感情を払拭し、彼女に彼の前で前の夫婦の時のように装ってくれと頼み込む。

快諾はしなかったが彼女は事情が事情だからと了承し、息子の病室に現れた。


母親は彼の顔を見て、あまりにも無邪気に喜ぶ様子に顔を伏せて一度部屋を出た。

父親が彼女を追いかけると、部屋の外で彼女は嗚咽を漏らして泣いていた。

くだらない意地でなんで会いに来てあげなかったんだろうと、彼女は後悔していた。


「二人で助けるんだ、取り返しのつかない事にならないように」

「3人でがんばるんでしょう?」

「ああ」


それから息子の側にはいつも父と母の姿があり、彼らと自分の絆を力にして彼の中のヒーローは八面六臂の大活躍、モンスターをやっつけて息子はみるみる回復していった。


いよいよついに退院日。夫婦と息子が家のドアを開けると、彼らの友人達が待ち構えてクラッカーを鳴らし彼らを迎えてサプライズパーティーをはじめた。笑顔が溢れる家族、夫婦の指には再び結婚指輪が輝いていた。


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