表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
495/873

489回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 288:荒野で生きる者たち(14)

「ふぅ」

 ひとしきり気が済むまで撫で倒し、僕は額の汗を拭い二人を見た。


「ひっ……、あ……ぉお……」

 ベイルはだらしなく舌を出し、涎を垂らして幸せそうな顔で気絶している。

 

「はぁ……は……ッ、なんで撫でられるだけで、こんな……はひぃ」

 ドルフはよがりすぎてへとへとになっていた。


 気を失ってないあたりさすがのタフネスだ。

 今ならベイルも気を失ってるし、彼にいろいろ聞けるかもしれない。

 

「ねぇドルフ、聞いてもいい?」


「なんだ?」


「ドルフって隷従騎士の処置はされてないんだよね?」


「ああ、魔王軍所属のやつがここに潜入しててな。そいつと入れ替わる形で教会にいた」


「目的は僕と会って、地上に連れて行くこと」


「……そうだ」


「ドルフの力ならいつでもそれは出来たよね、なぜしなかったの?」


 ドルフは口籠もり、しばらく思案した後体を起こした。


「お前に新しい関係ができてて、それをお前が大切にしてて、守ろうとしてた」

 彼は振り返りベイルを見て目を細め、僕の顔を見つめる。


「そんな時にお前を無理矢理連れ帰るなんて俺には出来ねぇ。そんだけの話だ」

 言い終わると彼は苦笑いした、とても優しい目をしている。


「あのさ、こんなこと言いにくいんだけど。人違いとかじゃない?」


「お前はここに連れてこられた時に記憶が消されたらしい、認めにくいのはわかる。だけどお前は契約者にしか使えない琥珀のダガーが使える。その山刀もお前が以前使っていた物だ。お前の大切な人がお前の為に特注で作った物だからな。それに俺がお前の事見間違うはずねぇんだ」


「最後のはどうして?」


「そりゃお前、俺がお前のこと……」

 ドルフは突然顔を赤くしてごにょごにょと言葉を濁す。


「ごめん聞こえなかった、もう一度言ってくれる?」


「う、うるせえ!仲良しだったんだよ、そんだけだ!!」


 吠えるようにそう言ってドルフは顔を両手で隠した。なんだかかわいい。


「そっか、良かった。僕の知らない僕ってドルフとも仲良かったんだね」


「俺だけじゃねえぞ、お前を待ってる奴はたくさんいる。だけどもう少し待つくらいみんな我慢してくれるだろうよ、再会するなら笑顔で会いたいだろうしな」


「うん、待ってくれてる人達の期待に応えられるかはわからないけど。全部終わったら地上に行くよ。だからそれまで力を貸して」


「おう、任せろ。とことん付き合ってやるよ」


 僕らは互いの目を見つめ合い握手を交わした。

 ドルフの肉球は意外にもぷにぷにしていて、暖かくて気持ちよかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ