表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
487/873

481回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 280:荒野で生きる者たち(6)

「なぁどれくらいでつけそうなんだ?」


 アリスを肩車しながら陽介は尋ねる。


「日中には着けるだろう」


 先頭を歩く将冴は、こちらを振り向かずにそう答えた。

 出発してからどことなく将冴が僕らと目を合わせようとしないのが気になる。


「将冴、もしかしてなにか僕らに言いたいことがあるんじゃない?」


 尋ねると彼は足を止めた。

 言おうかいうまいか悩んでいる様だ。


「らしくないな、お前いつも必要な事ならさっさと片付けるのに」


 陽介の言葉に後押しされたように、将冴は僕らに振り向き真剣な目をした。


「今から話すのは憶測や冗談なんかじゃない、お前たちが知っておくべき事実だ」


「勿体つけんなよ」


「プレイヤーは死ぬ、アバター化していてもHPが尽きたり、HPで防げない攻撃を受ければダメだ。だから無理はするな」


「え……?」


 アリスが驚きの声を出す、陽介も固まっている。


「どうしてそれを知ったの?」


「理由は……聞かないでくれ」


 将冴に尋ねると、彼は気まずそうに目を逸らしてそう言った。


「安全が確保できるまでアバター化は解くな」


「おい将冴、そんなこと言われたっていきなり信じられるかよ」


 将冴は僕らに背を向け歩き出す。


「俺だって認めたくない。この世界はゲームで、本当の俺は現実にいるんだと思っていた。だがここで発生する死は取り返しがつかない、リトライなんてできないんだ」


 彼はそう言って先を急ぐ様に歩速を早めた。


「行こう」

 僕は立ちすくんでいた陽介の背中を叩く。彼は「ああ、今はそれしかないな……」と言って歩き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ