467回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 267:空に輝く虹のように(3)
「いやぁ!!」
ほのかは怖がり、僕の服を掴んだ。
陽介はアリスを自身の背後に隠しながら、召喚魔法のキャストを始める。
他の祓魔師達も臨戦体制に入るが、こちら側の守りは僕が出るしかない。
「僕が前に出る、ほのか援護を」
「は、はいっ」
「落ち着いて行こう、君のことは僕が守るから」
「雄馬くん……がんばります!」
群がる無数の蜘蛛、僕らは陣形を組み防衛線を貼る。
他の祓魔師達の火力が凄まじく、アバターとしてのスキルの使えない僕の方に敵が集中し始める。
ほのかや陽介アリスも奮闘するが、素早く、壁や木を利用した立体的な動きに翻弄され、思うように能力をいかせていないようだ。
僕は黒ナイフを三本、蜘蛛の集団を囲むように放って煙幕を出す。
「ほのか、竜巻を起こして!」
「はい!」
ほのかはストームウィップを四方に振って、気流を操り蜘蛛の群れに向かう竜巻を起こす。
蜘蛛達は竜巻に飲み込まれていく。
「やった、でもこれじゃ一時凌ぎにしかならないな」
「大丈夫、巻き込まれないように気をつけて」
黒い煙幕を飲み込んだ竜巻に向かい、即爆の黒ナイフを放ち、竜巻を爆発させ蜘蛛達を焼き尽くす。
竜巻は炎によって発生した上昇気流で拡大し、巨大な燃え盛る火災旋風に変わる。
「凄い……」
「ここからだよ、ほのか」
「そうか、わかりました!」
ほのかはストームウィップの気流を利用して、火災旋風の進行方向を操り、その場に次々集まる蜘蛛達を一網打尽にしていった。
「合体技って奴だな、やるじゃん雄馬!」
陽介が僕の背中を叩く。
「咄嗟に思いついたんだ、うまくいってよかった」
しかし次の瞬間、石畳の地面に亀裂が入り、地面に大穴を開けながら建物よりも大きな巨大な蜘蛛が飛び出してきた。
「なんだぁっ!?」
「これが本当の敵、今までのは子蜘蛛だったのか」
「あっ!!」
ほのかの叫びを聞いて振り返ると、彼女が地面に空いた巨大な亀裂に足を取られ、中の大穴に落ちていくのが見えた。
「ほのかっ!!」
「雄馬くん!!」
僕はほのかに駆け寄り手を伸ばすが、彼女の手は空を切り、そのままほのかは大穴の中に落ちていってしまった。




