443回目 正義の味方
パトカーの中で街頭の巨大なテレビに映るヒーローの姿を見る初老の警察官がいる。
「買ってきたよ」
そう言って若い警察官が紙袋とコーヒーを手に車に入ってきた。
「悪いな、俺に付き合わせて」
「なんの話?」
「お前も目指してたろ、ヒーロー」
「父さんが一般人で警官やってるから俺が遠慮して警官になったって?」
神妙な顔をする親父
鼻をつまむ
「ぬが!?なにふるんだ」
「俺が目指したのはあんただよ父さん」
「俺か?」
「俺にとってのヒーローはずっとあんただった、あんたみたいな警察官になるのが夢で、それはちゃんと叶えたんだ」
「ドーナツ食いながらパトロールする生活に憧れたのか?」
「悪くない、タイツ着てアイドルごっこするよりはずっといい」
「ははっお前がタイツ着ても似合わなさそうだしな」
「それに俺の力は人に知られない方がいいだろ」
「……そうだな、そうかもしれない。お前がそう思うなら、それがきっと正解だ」
治安維持は実質警察や軍がしているが
ヴィラン活動させないためにヒーローという役職を能力者のために用意して、政府がフォローしてる世界。
稀有な力に目覚め最高のヒーローになれると思ったのに、実際になってみると立場と金をあげるからおとなしくしてろというポジションだと知って、失望し社会を破壊しようとする青年ジェシー。
強い能力があるが父と同じ一般人としてみんなを守る警察官になりたくて隠してきた青年エイト。
間違った世界を破壊して正しくて新しい世界を作る!無能力者は能力者に嫉妬してこんなシステムにしたから、存在自体が正義の能力者による支配が必要だと、ジェシーは能力者に呼びかけ、自らのシンパにも能力を与えて一斉決起させる。
「俺今史上最高のヒーローだもん、世界変えたら俺が永遠に最高になる。俺こそまさに正義の体現者だ」
側近をしていた回復能力者グィネビアが彼を見限りエイトに接触、そのせいで父親が犠牲になる。
失意に沈むエイトを救い出し匿ったのは、能力者による社会混乱が起きないように暗躍していた秘密結社だった。
自分の能力が目当てなのかと彼らを警戒するエイトだったが、実は彼らにエイトを守るのを頼んだのは彼の父親ジムだった。
一介の警察官でしかない彼にはエイトの能力を隠しきれないと感じ、事件などの情報から秘密結社の存在を掴み、接触。
エイトの能力が明るみになれば社会的な影響が大きすぎる事を理解した組織は、秘密裏にエイトが能力者である事がバレないように活動し続けていた。
自分を監視していたならなぜジムを助けなかったと責めるエイト。
組織のメンバーは自分たちはヒーローではないから、後の世のために比重の大きい方を優先すると言い切る。
彼らを拒絶しようとするエイトだったが、自分達を嫌ってもいいが、エイトを守るという父との約束だけは果たさせてくれと言われ、エイトは彼らと行動を共にし始める。
グィネビアの裏切りに激怒しエイトを狙うジェシー。
能力を生み出し自他に与えることのできる神の如き力、対、相手の能力を無効化、触ると相手の力を消滅させる能力。
秘密結社の力を借りて、決起を収める事に成功したエイト。
彼はこれ以上同じようなことが起きないように、そのために自分の力が役に立つならと秘密結社の仲間に入り、グィネビアとコンビを組み、能力者によるトラブルを解決するため奔走するのだった。




