表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
437/873

432回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 235:焔花(3)

 ヤスからの岩石攻撃に慣れてきたのか、石像は巨岩を払いながら僕らに向かって爪手裏剣を放ってきた。


「止まって!」


 女の子が杖を振り真空刃で迎撃するが、質量が違いすぎて効果がない。

 即爆黒ナイフで軌道を逸らし、彼女を抱いて爪を避ける。


「ううーごめんなさい」


 力を使う時、彼女の手にした杖から光の奔流を発していた。

 もしかしてこれは杖じゃなく、柄なんじゃないか?


「僕を助けた時みたいな使い方をしたらどうかな、風を使って掴んで投げるんだ」


「爪の軌道を……」


 女の子は僕の言葉を反芻しながら、迫る次の爪手裏剣に武器を向ける。

 武器から伸びた光の奔流が鞭の様な軌道を描き、爪手裏剣に絡み付いた。


「変える!変わってぇ!!」


 えーいっ!と叫びながら、女の子が武器を振ると、爪手裏剣の軌道が逸れて川に落ちていった。


「やった!」


「うまい!それじゃフォローよろしく!」


「えっちょっ」


 僕はジェットパックを吹かして先行し、ロケット鋲を石像の目を目掛けて放つ。


「ウォオンッ」


 石像は素早く顔を手で庇いそれを防ぐ。


「やっぱりこの距離じゃ当たらないな」


 でも石像の注意を引くことはできた。

 石像が僕に向けて振りかぶり、爪を生やして次弾を放とうとした。


「掴んで!ストームウィップ!!」


 女の子がそう叫び、輝く風の奔流が石像の動きを鈍らせる。

 すぐに拘束を解いて攻撃してきたが、僅かなタイムラグがこの場はありがたい。

 装備を減らさず、巨岩の影を利用しながら避けることができた。


「鞭の先端で石像の関節を叩いてみて!」


「は、はい!先端で……先端で……」


 僕は迫った爪を回避しながら走る、欄干に跳び上がり、そこからさらに跳んでジェットパックを吹かせて、石像の背後を目掛け上昇した。


「ガロオォオオン!」


 石像の右拳が僕に迫った。


「させない!!」


 女の子の叫びと共に、音速を超えた風が石像の右膝の内側を直撃、石像はバランスを崩して膝をついた。


 やっぱり彼女が手にしていたのは風を操る杖ではなく、風の鞭の柄だったらしい。


 鞭は先端の速度が音速を超える、バチンと鳴るのは音の壁を破った音だ。

 風の鞭でも同じ法則が働くみたいだな。


 石像の直上を通過しかけたその時、石像が自らの脇の下から、爪を僕に目掛けて発射した。


「しまった!」


 油断した!直撃する!?


「足場行きます!」


「へっ?」


 女の子の声に足元を見ると、地面に落ちていた爪が風に飛ばされこちらに向かってきていた。

 僕はそれを踏んでジャンプし、石像の撃った爪を回避した。


 女の子はガッツポーズをすると、ふんすっといったドヤ顔で僕に親指を立てて見せた。


「やるじゃない!」


 僕も彼女に習い親指を立てウィンクする。


 ついに石像の背中が見えるところまで辿り着いた。

 背中についたゴーレムの巨大な目が僕を見る。


 僕は迫った門に左ガントレットをぶつけて爆発させ反動で石像に向かって飛び、ジェットパック片側噴射で回転を加えながらゴーレムの目を叩っ斬る。


「砕けろ!!」


「ガォオオォオン!!」


 叫び声を上げながらゴーレムは爆散し、崩壊していった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ