417回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 220:咎人の祭歌(4)
空が血のような赤色に染まり、空間そのものが金切声を上げているような異音が響き続けている。
エレナは完全に人魚に取り込まれたようだ。
「あの子は」
「生きてるよ、 契約者が死ねばオブジェクトは止まるからね」
こうなったら契約者は殺すしかない、そんな悲壮感のある表情で氷雨が言った。
僕は自分の手を見る、さっきと同じことができるなら、助け出すことができるかもしれない。
人魚は奇声を放ち、鱗の下から無数の眷属を放出しながら襲ってきた。
「 夢幻氷刃 !!」
氷雨がサーベルを振るうと、氷の粒子が無数の刃となって、人魚の放った怪魚の群れを一瞬で粉砕した。
氷雨は人魚に向かって走り、サーベルを構える。
「はぁっ!!」
冷気を帯びた氷雨の斬撃、サーベルから放たれた冷気が人魚の後方に巨大な氷の壁を作る。
「氷雨!避けて!!」
『ギィイェアッッッ』
人魚は巨大な腕を振るって氷雨を吹き飛ばし、氷雨は僕の前方で宙返りして着地する。
「HPが三割持っていかれた、なかなかの強敵だ」
「傷一つついてない、どうしてだろう」
「オブジェクトの力かもね、こんなに強力なクリーチャーは初めてだよ」
氷雨は僕の目を見て不敵に笑う。
その意味は次の手はどうする?だ、そんなの決まってる。
僕は琥珀のダガーを左手、山刀を右手に握り、氷雨の前に出た。
「僕が行く、サポートよろしくね」
「それでこそボクの王子様だ」
無数の眷属を放出しおえた人魚が再びこちらに迫る、僕らは武器を構え、タイミングを見計らう。
「さぁ来い化け物!狩りの時間だ!!」




