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413回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 216:氷雨(11)
森を進むほどに敵の数が増えてくる。
教えてもらわなきゃ気づけないような目印に沿って進めば、獣道であっても迷わず進めるのがなんだか不思議な気分だ。
近づくほど、左腕が痛くなっていく。
琥珀のダガーを取り出すとかすかに光を灯し、光の強弱で道を示してるように見えた。
闇の中を進むと遠くに建物の影が見え始めた。
「隔離病棟みたいなとこかと思ったけど」
「田舎の村にしちゃやけに立派な建物だな」
「霊廟だね……」
「れーびょう?」
「平たく言うと建物型のお墓だよ」
「まてよ、流行病の人々を生きたまま埋葬するのに使ったって事か?」
陽介が驚いていると、入り口からアンデットの集団が飛び出してきた。
「おいおい、それじゃこのゾンビ達って」
「迷ってる時間はなさそうだよ」
僕は山刀を引き抜き陽介の前に出る、氷雨もサーベルに冷気を纏わせ構えを取った。
「やるしかねぇのか、クソッ!」
陽介の叫びとともに交戦が始まった。




