343回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 147:罪と罰の在処(1)
街に向かう僕達に、街の方から馬に乗った黒服の覆面男の集団が襲撃を仕掛けてきた。
六人が僕の進行方向に集結し、薙刀をアーチを作るように構え、それを一斉にこちらに向けて振り下ろす。
僕の乗った馬がいななき、後ろ足を蹴り上げて僕を空中に投げ出し、僕は長刀の攻撃を空中で交わし、追撃に振るわれた薙刀に山刀の斬撃をぶつけ、その衝撃を使い空中で軌道を変え、姿勢をひねりながら馬を見る。
馬が薙刀を交わすためにスライディングし、地面で360度回転しながら敵の馬の脚に蹴りをみまい蹴散らして、立ち上がると僕を背中で受け止めた。
「馬離れしてるなぁ君は」
僕の言葉に馬は、これくらい朝飯前ですよというように高く嘶き、再び一気に加速する。
前方からさらに敵の増援、数が多い。
「こんなにいるなら手を貸してくれればいいのににゃー」
そうぼやきながらリガーが僕の前に出る、続いてマックスとディアナ公国兵達、そしてドルマの率いるギャング達が、僕の前方に壁を作るように展開した。
「彼らは自分達が引き受けます!ジョッシュ、あなたは全速力で都市へ向かってください」
「俺の女房と子供達を頼むぞ小僧」
マックスの言葉の後にドルマがそう声をかけながら、僕の背中を強く叩いて前方に合流していく。
敵の軍団と味方の軍団が激突、そしてみんなは僕が通る道を開くように左右に敵の集団を割って見せた。
みんなが僕に賭けているのを実感して、僕はその重さにたじろぎそうになる。
だけどきっとこんな時、グレッグならこう言うんだ。
「僕は先に行かせてもらう。みんな、必ず生きてまた会おう!」
応ッ!!とみんなは雄叫びをあげた。
敵の集団を抜け、リガーが死刃の円月輪を振るう。背後の敵も味方も霧に隠れるようにみえなくなった。
都市が近づいていた。爆発音が鳴り響き、人々の悲鳴も聞こえ始める。年に近づくにつれて空が暗くなっていく、星のない夜のような暗闇の中、なにもないはずの空間に無数の気配と、何かの笑い声が聞こえる。
『兆しだ、もうあまり時間がない。急いでジョッシュ!』
僕は闇の中、煌々と燃え盛る紅蓮の塔に急いだ。




