33回目 偽装都市
その都市には秩序があった。
四方を壁で覆われた巨大な実験都市、
そこの住民たちは皆元凶悪犯罪の受刑者だったが、
洗脳と記憶改ざん処置を駆使して
人工的に生み出された偽物の人格を植え込まれ、
偽の人格であると気づかないまま、皆平凡な一般市民として生活しているのだ。
しかしそんな中でも犯罪が起きる事がある、
肉体のスペック自体は変更が利かないため、
常人ならざる身体機能を持つ者が多い事と、
噂の段階でしかないが、都市の中で本来の人格に目覚め、
他者を同様に覚醒させ配下に収めている者がいるという。
そうした者達による犯罪に対抗するため、結成された刑務組織ゼファーに
刳刃綜一は所属していた。
その都市の犯罪にはまだ人道上認可されていない軍用技術、
バイオフュージョンアーマーが使用されるケースが多く、
それによって怪人化した暴徒を制圧するため、
ゼファーの執行官にも最新のバイオフュージョンアーマーの携帯が許可されていた。
綜一は自分や他の執行官ももしかすると偽の人格を植え付けられているだけの犯罪者なのかもしれないという疑問を抱えながら、怪人達の生態系が発生しつつあるコンクリートジャングルの中を走る。




