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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
317/873

314回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 119:嵐までの七日間(5-5)

「この花が僕を呼んだんだよ、君を助けてって、そう言ってた」

「私が……植えたの、みんなが、優しい気持ちになれるように……」

「素敵な願いだね」

 キルシュは優しい子だ、それにそれは彼女だけじゃない。


「キルシュ!ここにいたのか!」

 リックとシバが迎えに来た。僕は涙で濡れた彼女の顔をそっとハンカチで拭くと、笑いかける。

「行っておいで」

 僕がそう言うと、彼女は走ってくる二人の方向を向いて、彼らに向かって走り始めた。


『大丈夫なの?彼女目が見えないんだよ?』

 心配そうにそういうパットをなだめるように、僕はポーチの中の琥珀のダガーに触れた。

 よろけた彼女をリックが受け止め、そのまま抱きかかえて回転した。

 寂しかったはずの花畑に笑い声が溢れる。

 シバに抱きしめられ、リックに頭を撫でられ、キルシュは微笑む。


「君の願い、僕が守るよ」

 誰にともなくそう言うと僕はその場を後にした。

 

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