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274回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 82:護るべき大切な人のために(23)
「マックスこれを」
僕はそういうと彼にエルフの霊薬を差し出す。
「これは……すごい、本物は初めて見ました」
マックスは驚いた様子でそれを眺めると、僕に返してきた。
「でも酷い怪我だ、治療しないと」
「この程度ならばそんな大それた物を頂かなくても治療できますよ、それは大切にもっておいてください」
「これそんなに効き目凄いの?」
「はい、聞いた話ですけれど、切り落とされた腕が蘇るとか、腐りかけていた体が再生するとか、そんな規模の効き目だそうです」
「おおう、それはすごい。でもそんな怪我しないようにしたいなぁ」
「全くです」
マックスはそう言って笑う、大人の余裕というやつなのか、兵士として彼が身に着けた他者を落ち着ける話し方なのか、彼といると緊迫感のある時でも少し落ち着く気がした。




