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258回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 69:護るべき大切な人のために(10)
道を進み街が見えてくると、そこにある奇妙な建物に僕の目はくぎ付けになった。街外れにそびえる燃え盛る塔の異様。はじめは火事かと思ったけれど、そうではないらしい。あの塔は崩れ落ちる事も、煤で変色していく事も、まして煙すらも上がっていない。
「混沌構成物……、こんな街中に?」
その異変がいつからの事なのか、住民たちは、街へと向かったリガーとマックスは無事だろうか。僕はいてもたってもいられなくなり、馬の走る速度を上げ、草原を駆け抜けていった。




