249回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 60:護るべき大切な人のために(1)
「ギルドのメンバーっていろんな場所にいるんだね」
神殿から戻り、マックスの案内で地下通路を歩きながら、僕はさっきみた狐のモンスター、ディーの事を思い出していた。
「親がメンバーだと生まれた時からプレートが与えられるからにゃ、大人になってから正式にギルドに加入するかどうかは本人に委ねられてる。プレートを返上してモンスターとして生きることを選ぶ奴も少なくはないにゃ」
僕の前を歩いているリガーはなぜか尻尾を高く上げて、小気味よいリズムで左右にそれを振っていた。先輩として頼られるのが嬉しいのだろうか、ボーディとの関係を見るに世話好きな所あるよなと僕は思って少し彼が可愛く思えた。
「でも今の状況だとギルド外のプレートのありかがわからなくなったりしない?」
「前に食うに困った奴がプレートをモンスターの質屋に出したことがあったけども、すぐにガットがギルドメンバーに回収指示を出して、プレートを売った奴が大目玉食らってたからにゃ」
リガーは尻尾を垂らしてこっちを見る。あーこれは彼の体験談だなと察しつつ、僕はそれが顔に出ないように笑いをこらえた。
「どういう仕組みかわからんけどマスターにはどこにどのプレートがあるかわかるようになってるらしいにゃ」
「マスターか……」
お世話になっているマスター、だけど彼はなんでモンスターの集団の中にとけ込んでいるんだろう。見た目は僕と同じ人間だというのに。以前僕がマスターについて彼が人間に見えると話した時のガットの反応、そしてプレートとの関係。崩界で出会ったガルズはギルドプレートの事を竜鱗と呼んでいた。
「正直マスターに関しては謎が多いんだよにゃ、モンスターは細かいこと気にしない荒くれが多いから誰も気にも止めないんだけどにゃ」
そう言って首を傾げるリガー、僕もなんとなく彼にあわせて首をかしげてみる。そんなやりとりをしていると出口が近づいてきた。この国に来た時とは逆のエリア、そこを支配している勢力は先ほどとは逆で中高年という。リガーから仮面を受け取ると今度は僕がそれを被り、地上へと出た。




